FonFonの材料代は約10万円!?
「工場にあったパーツを寄せ集めて、ほとんどボクが組み上げたのと、エンジンマウントの溶接などは仕事の関係の方々のご協力もあって、ここまででも新たに買い足した材料代は10万円ほど。お金をかけてつくっても面白くないですからね(笑)」とは部長さん。アイデアマンであり、勉強家でもあり、本業で得たクルマの知識も半端ナイことは確実。
エンジン&ミッション、コンピューター、燃料系、吸気&排気はそっくりそのまま、ニンジャZX-12Rそのものを丸ごとキャリイに移植。
クラッチやプロペラシャフトはほかの軽トラや軽ハコのパーツを流用。足は工場にあった使えそうなショックを入れ、
ラジエターも「何かのために置いておいた」というBNR32GT-R用3層アルミへと変更。
荷台から飛び出したヘッド部分は、ドラム缶の廃材でドーム状のカバーを製作。
と、ここまでは良かったが、苦労したのが最終減速比(いわゆるファイナル)。軽トラのもともとのタイヤ外径やデフではバイクの減速比とまったく合わず、最高速が伸びない。いまは暫定だが、15インチタイヤとジムニー用のフロントデフを加工してリアホーシングに投入することで、計算上140~150km/hぐらいまでは到達するまでに試行錯誤が繰り返されてきたそうだ。
エンジンが載って、ちゃんと動くだけでもスゴイことだと思うのだが、部長さんと大野さんの考えは、サーキットでの全開走行で一致。完成した当初、シフトレバーは押してシフトアップだったのだが、「サーキットでレーシングするためにはレバーを引いてシフトアップでしょ!!」ってことから、ワイヤーからロッドに改造され、ますます野望は膨らんで行くことに。
いままでに体感したことがないぐらい強烈な加速G!!
ニンジャZX-12Rのエンジンが奏でる“フォンフォン”サウンドは動画でも聞くことができるが、実際に目の前にすると、ボロボロ(?)の軽トラと世界最速のバイクのエンジン音が、まぁ、似合わないことに、思わず笑ってしまう。遠くから聞こえて来る音はキレキレ&激速のバイクなのに、近づいてくる姿は軽トラックという光景がまさに滑稽なのだ。サーキットを走る姿は、ビデオを早送りしているかのよう。
「直線の加速は、ボクがレースで乗ってたアルトワークスのフルチューンターボより速いよ(笑)」と話す大野さん。プロのレーシングドライバーが言うのだから、疑いようがない。
大野さんの運転で、FonFonの助手席に乗せてもらったのだが、いままでに体感したことがないぐらい強烈なレスポンスの加速Gは、その言葉以上で、恐怖すら感じるほど。4輪のレースカーとは出力特性もギア比も違うので当たり前なのだが、軽トラックとの組み合わせで2輪の世界最速エンジンを味わうという貴重な経験ができた。
と同時に、自分が運転してみたいとは一切思うことなく、プロのレーシングドライバーの凄さも思い知らされた。
【取材協力】
Rising West(ライジングウエスト)
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