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ドイツなら完全に違反! 相も変わらぬ日本の秩序なき合流

高速道路の本線合流は加速車線が終わる一番奥

 チッ! 思わず舌打ちしたくなる渋滞時の合流地点での光景。連休や夏休み、帰省時期など、混み合う高速道路でそれは顕著だ。

 空いていようが、空いてなかろうが、本線への進入は加速車線が終わる一番奥が原則。にもかかわらず、大半のクルマは、ちょっとでもスペースがあると見るや、すぐさま本線(走行車線)に進入してこようとする。渋滞時は最悪で、加速車線が始まってすぐの右側のエリア=ゼブラゾーンで合流を試みるクルマも1台や2台ではない。
 本来の合流地点のはるか手前から何台ものクルマが入ってくるものだから、走行車線のクルマは無駄にブレーキを踏まざるを得ず、流れが停滞。それを見た、走行車線にいた他のクルマが今度は追い越し車線に入ってくるものだから、さらに混雑・渋滞に拍車がかかる。

 本来の地点で順序よく交互に1台ずつ入れば、おそらく走行車線も追い越し車線も、さほど流れが滞ることはないはず。一部の(といっても、とても多くの)ドライバーによって余計な渋滞が引き起こされているのだ。

 一般道でも同様。道路状況にもよるが、それまで2車線だった道が1車線に減少したり、工事や事故などで片側車線が規制されている場合、その先で絞られる車線から移ろうと、合流地点のかなり手前で車線変更しようとするクルマが渋滞の原因になっているケースが少なくない。

「早く合流してラクになりたい」がそもそもの間違い

 なぜ、それほど早く合流したがるのか?

 もっとも多いのが、「みんな我慢して列に並んでいるのに、他のクルマがいない間隙をついて一番先頭で合流するのはズルをしているようで申し訳ない気持ちになります」(東京都・42歳 ・会社員 関山靖彦さん)という意見。どうやら“日本人らしい奥ゆかしさ”といえば聞こえはいい、気の弱さに起因しているようだ。

 そもそも、本来すべき合流を“ズル”と考えるのがおかしいのだが、ほかに「合流地点ギリギリまで行って調子よく入るのは気がひける。それで車間を詰めてくるなどの嫌がらせを受けるくらいなら、多少迷惑がられても、ずっと手前で合流して早く気持ちがラクになったほうがマシ」(神奈川県・60歳 ・無職 佐藤直志さん)といったコメントも聞かれた。

 なにを弱気な! と言いたくなるが、筆者も「なるほど」と納得せざるを得ない光景を何度となく目撃しているし、経験もしている。

 私見だが、日本人の運転マナーはお世辞にも「いい」とはいえないと思う。ふだん運転をする機会が少なく、慣れていないドライバーが多く出没する休日はなおさらのこと。余裕のない彼らに譲り合いや、マナー/モラルを求めるのは少々酷かもしれない。

 さらにいえば、「女性は運転がヘタ。モラルに欠ける」と決めつけている人も少なくない現状、依然女性ドライバーを取り巻く環境には厳しいものがある。

ジッパー法に学ぶ「譲り合って一台ずつ合流」

 ご存知の方もいるかもしれない。自動車先進国の代表格、ドイツの交通法規に“ジッパー法”がある。これは『渋滞の有無にかかわらず、合流地点では車線が減少する先頭(奥)で譲り合って1台ずつ合流』。安全でスムースな交通の流れを促すことを目的とした法律。

 規則正しく1台ごと交互に合流する様子が、ジッパーが閉まっていくように見えることが名前の由来。“ファスナー法”とも呼ばれ、違反すれば罰則が待っている。

 現在、日本ではこうしたルールは一部の地域・高速道路などで推奨されこそすれ、立法化されているわけではないが、少なくとも道交法に抵触することはなく、各ドライバーが適当な地点で、好き勝手なタイミングで合流するよりはるかに安全で、渋滞緩和にも有効なのは間違いない。いい手本はどんどん真似て広まってほしいもの。  もしかしたら、「調子のいいヤツ」「ズルしやがって」とカン違い。ウインカーで車線変更(合流)の意思を示しても、故意に車間を詰めるなどして入れさせてくれないドライバーもいるかもしれない。しかし、ここでくじけないことだ。

 すべてのドライバーが無知だったり、意地悪なわけではない。常識人は必ずいる。あるいはジッパー法のことを知っていて、車間を空けるなどして快く譲ってくれる人もいるかもしれない。嫌がらせを受けたら無視すればいいだけ。譲ってくれたドライバーには軽く手を上げたり、会釈などで感謝・謝意を伝えよう。

相手を挑発する「譲らない」行為

 今回の原稿を書く前、参考のために某ウェブサイトで『合流で譲るか?譲らないか?』の問いかけに対する一般からの書き込みをいくつか読んでみた。

 衝撃を受けたのが「なにがあっても絶対に譲らない!」という、ふだんは普通に生活しているだろう、しかも女性の書き込み。過去になにがあったのか知る由もないが、譲らない行為も度を越せば、「挑発しやがって」と相手を刺激しかねない。

 このご時世、どんな人間がクルマに乗っているかわからない。もしかすると理屈が通らないアブナイ相手かもしれない。譲らないのは勝手だが、面倒なトラブルになるのが嫌なら気をつけたほうがいいと思う。

 合流だけでなく、車線変更でも同じことがいえると思う。自分の前に1台入れたからといって30分も1時間も到着時間が遅れるわけでもあるまいし……。

 いまや日本車のデキのよさは世界中が認めるところ。一方、日本人の運転マナーは先進国で最低レベルとも聞く。まずは、個々人が自分の行為を振り返り、マナー/モラルの遵守を強く意識すべきなのかもしれない。

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