【暖機運転】
今のクルマは走り始めをゆっくりとすれば良い程度で、いわゆる停車したまま「水温計の針が動き出すまで待つ」といった暖気運転は必要ない。一方、旧車の場合はしっかりと暖機する必要があるし、暖まる前に走り出そうにも、かなりガクガクする。環境に良くはないかもしれないが、絶対数は少なく、頻繁に乗るわけではないので負荷は少ないし(欧米の旧車減税制度の根拠のひとつ)、走れないのだから仕方がない。
暖機はピストンやシリンダーなどのメカの摩耗だけでなく、オイルシールやガスケットなどの馴染みにも関係することが考えられ、実際に暖機を励行してきたクルマは、オイル漏れも少ない。
【急が付く操作】
運転はやはり“優しく”が基本。バリバリのチューニング仕様も旧車では多いが、最終的には各部にストレスが溜まって、劣化はかなり早まるように思う。構造的、設計的にも未熟な部分があるのも劣化という点ではハンディだろう。
部品が潤沢にあれば、メンテ前提で攻めた走りもできるかもしれないが、ないことも多いのでやはり優しくが基本だ。足まわりのガタやミッションの入りなど、不具合が出やすいポイントは多い。
【車検・整備】
新車から数年であれば、まったく問題が出ず車検を通せるのが最近のクルマ。逆に旧車の場合は、車検は初期化のポイントとしてできる限りの整備をしたい。
冷却水の交換、ブレーキを分解してのオーバーホール、各部増し締めやグリースアップなどやることはたくさんあるし、実際に不具合が発見されることも多く、修理が必要になることも普通にある。車検の時だけでなく、12カ月点検の励行も大切だ。とにかく、点検・調整・交換が常に付きまとうのが旧車というものである。
【定期的な走行】
よく「乗らないけど、1週間に1度はエンジンをかけるようにしています」という言葉を耳にするが、やらないよりはやったほうが良い程度。“エンジンをかけるだけ”というのは、簡単に言ってしまえば、エンジン内部が動いているだけで、そのほかの部分は止まっているのと同じだ。
クルマにとっては近場で構わないので走ったほうが良く、暖機をしっかりとしてから、最低10分は走りたい。10分以下だと、バッテリーの活性化が始まらないし、ミッションやタイヤも暖まり切らない。10分間走るとしても、ブレーキをかけてみたり、シフトはあえてマメにしてみたりと、意識して各部を動かすようにするのがベストだ。