ラゲージルームを車外拡張するキャリアはとても便利な運搬アイテム
コロナ禍で3密が避けられているなか、オープンエアで換気の必要がないキャンプやアウトドアは活況を呈しているようです。自家用車にアウトドアギアを満載して出かける際、人数や貨物量によっては車内のラゲッジルームに荷物が収まらないケースも出てきます。そんなときのためにキャリアを装備している方も少なくないのではないでしょうか。
キャリアといえば代表的なものはサーフボードやスキー・スノーボードですが、近年はロードバイクやカヌー・カヤックを積載できるルーフキャリアやリアキャリアも登場しています。キャリアに貨物を搭載すればシートを潰してラゲージルームに押し込む必要がなくなるため移動も窮屈にならず快適です。このキャリア、装着や使用にあたって法律上はどのように定義されているのでしょうか。
ユーザーが装着したパーツは車検証の構造変更にあたらない
例えばルーフキャリアを装着すれば取り付けベースで全高が少々高くなりますし、ショックアブソーバーの変更では車高が下がることもあります。しかし「指定部品」と呼ばれるパーツ装着での軽微な変化について、車検証の記載事項変更にはあたらないものとする、という通達が平成7年(1995年)に国土交通省自動車交通局から出されました。
実は先立って行われた日米包括経済協議において日本の規制基準が貿易障壁とならないよう緩和され、米国製自動車部品販売の妨げにならないよう配慮されたわけです。実際には「長さ±3cm、 幅±2cm、高さ±4cm」の範囲内であれば構造変更に該当しないと通達されました。つまりこれは、道路運送車両法施行規則の見直しということになります。
キャリアの使用時に適用される道交法の積載規定に注意
日本の道交法では積載物のはみ出しについて施行規則で規定されており、「長さは10分の1、高さ3.8m(軽は2.5m)、幅は越えないこと」となっています。たとえば軽自動車は全長3.4mですから前方か後方にはみ出すことのできる長さは34cmです。幅にいたっては1.48mですから、リアキャリアに1.48mを超えるロードバイクを左右にはみ出すように積載することはできないことになります。
また軽自動車の場合、ルーフキャリアに全長3.74m(3.4m×1.1)を超えるカヌーなどの長尺物を積載することもできません。積載にあたっては自分の車の全長を把握し、10%以内に収まるものを積載する必要があります。このほか、ハンドル操作の妨げ、ミラーで後方確認できない、ナンバーや制動・方向指示・尾灯・反射鏡が視認できないような積載方法も法律上禁止されています。
制限外積載許可申請で制限を超える積載を拡張できる
それでも制限を超える貨物を積載しなければならないときは最寄りの警察署で「制限外積載許可申請」を行うことで長さ10分の5(前後とも10分の3以上はみ出さない)、幅1m(左右とも0.5m以下)の範囲内で許可を受けることができます。
原則的には1回単位の許可ですが、積載方法や走行ルートなどを事前に申請し、運転者・車両・運搬貨物・ルート等が同一なら従来3ヶ月だった有効期間が1年間へと平成31年(2019年)に規制緩和されています。規制外貨物の運搬にあたっては、30cm四方の赤い布、夜間は赤の灯火を設置する義務があります。
制限内、制限外を問わず、キャリアへの貨物積載にあたっては急ブレーキ・急ハンドルなどは禁物です。荷重に耐えられずキャリア自体が破損し貨物が落下するリスクは決して低くありません。
積載物の落下は道交法違反に問われ、事故を誘発すれば賠償責任も負うことになります。貨物は確実に固定し、出発から数キロ走行したら固定ストラップ等を再度確認するなど、最大限安全を最優先した運転を行う必要があります。とりわけ高速道路では貨物自体が過大な風圧を受けるため、固定装置やキャリアの台座などに大きな負荷がかかります。制限速度内で一定の速度を保ってゆったりと走行することが求められます。