R34GT-Rは1000万円超えで、もはや庶民には高嶺の花?
第2世代GT-Rと呼ばれるR32/R33/R34が中古車市場で高止まりな状態が続いている。R32/R33は「最低」300万円~、最終モデルとなるR34に至っては程度が良ければ新車よりも高い1000万円を超える価格で取引されているのはファンならご存じの通りだ。
2010年ごろは順調に値下がりし、R32なら100万円で気軽に買えた
レース車両のベースエンジンとして開発されたRB26DETTに革新的な4WDシステムをドッキングしたマシンは、本業といえるレースでも連戦連勝。アフターマーケットでも数多くのパーツが開発され、チューニング業界をけん引する存在となど大車輪の活躍。平成の傑作マシンとして今だ高い人気を誇っている。
価格は高く、経年劣化も進む第2世代GT-Rも、2010年ごろまでは順調に相場を下げていた。R34が250万円前後から手に入れることができ、R32に至っては100万円も出せば程度上の個体を買えた。
価格高騰の原因は2つある。1つはアメリカの「25年ルール」。これは簡単に言えば生産から25年以上経過したクルマはクラシックカーとして、排ガスなど面倒な手続きなしに輸入できるというもの。これによって海外のブローカーによるR32の大量買い(現在はR33も)が行われ、一気に相場が跳ね上がった。
もう一つはインターネットの普及とSONYのカーゲームである「グランツーリスモ」の影響。日本には第2世代GT-Rというスポーツカーがあることが世界的に広く認知されることとなり、海外のコレクターたちから注目が集まったからだ。最近では限定車や希少車の価値がさらに上昇。その金額は日本の正当なファンたちが乗りたくても買えるレベルではなく、もはや異常な相場なのだ。
相場高騰で機関に手を入れず、内外装だけ仕上げた粗悪品も急増
そんな状態であるから、オーナーはもちろん、ショップも売買価格は強気。絶対的な数も少ないので、ここ数年は相場が下がることは考えられないというわけだ。ここで本題。このような完全な売り手市場のマーケットなのに、編集部からは「第2世代GT-Rを安く買うにはどうしたらいいか?」というお題が届いた。
はっきり言えば、今いい個体を安く買うことは、宝くじに当たるよりも難しい。考えてみてほしい、第2世代GT-Rは登場から古いもので31年、新しいものでも18年が経過している。マーケットに数多く残っているから現役感はあるが、一般的な中古車として見ればクラシックカーの領域。見た目はピンシャンしていても、見えない部品が傷んでいたり、劣化していることは容易に想像できる。購入後に何らかのリフレッシュは必至だ。
そのため、相場が高いので外装だけ直して、エンジンルームを丸洗いするなど一見キレイに見せて、売り切る粗悪店も少なくない。つまり、第2世代GT-Rはもはや、ただ好きだけで、素人が安易に買えるクルマではなく、トラブルも楽しむくらいの愛情と気概が必要なのだ。単にGT-Rというクルマに乗りたいだけならば、R35をおススメする。
実は、直近で安く買えるタイミングはあった。店頭の相場に変化はなかったが、今年の3~4月はコロナ禍で海外ブローカーが来日できないこともあって、オークションの相場は大きく下がっていた。ただ、5月には再び上昇し、今ではコロナ前の水準に戻っているけれど。
現車確認をせず購入するのはNG。ショップの対応も判断材料に!
それでも、単純に安く買いたいのであれば、オークション代行は悪くはない。ただ、問題なのはオークションにはずっと売れ残って、グルグルと回っているクルマが数多くある。売れ残っている=誰も手を出さない粗悪品なので、安いからと手に入れると間違いなく痛い目にあう。まずは、オークションの動向を常に把握し、できればGT-Rの相場、目利きなどのできるショップを選ぶことが大切だ。
次に「ヤフオク」や中古車情報サイトで買う場合は必ず現車を確認すべき。特にヤフオクなどにネットに個人出品しているクルマはショップに買取してもらえず、仕方なくオークションに出品している可能性もあるので注意すべきだ。さらに個人で買う場合は、GT-Rに対する眼力=目利きが必要。もし、クルマについて精通していない場合は、GT-Rをよく知る人に帯同してもらい、吟味してもらうほうがいい。
専門店で買うメリットはGT-Rの良し悪しに精通している、専門店であるがゆえに「信用が大事なので変なものは売れない」という意識から、一般的なお店よりは安心できる個体を置いている可能性は高いが、その分、相場は高いので今回の企画とは合致しない。
ただ、一つ考えておきたいのは、車両価格だけでなく、今後維持するためのメンテナンス費用も含めて、トータルで安いかどうかを判断すること。車両価格は安いけれど、購入直後に故障が連発。結局莫大な費用が掛かってしまったという安物買いの銭失いな事例が最近多発している。
逆に、購入価格は高かったけれど、最低限のメンテナンスで壊れることなく乗り続けられているという人もいる。相場の高い安いはクルマの人気もあるが、内装がキレイ、履歴が残っているなど、高いものにはちゃんと理由がある。どの買い方にも共通するが、聞いたことをはぐらかすようなお店や人から買うのは避けるべきだ。
「手間暇をかけるか、お金で解決か」購入者の覚悟が問われる
そんな悪条件下でも「GT-Rが大好きで、一生乗れる個体を安く手に入れたい」と考えていなら、長期戦になるがGT-R関連のコミュニティに本腰を入れて携わることが一番の近道かもしれない。それはGT-Rに精通するディーラーやショップに定期的に足を運ぶことかもしれないし、オーナークラブへの加入やオフ会への参加することも手段のひとつだろう。
どれが正しいか、何がその人に合っているかは分からないが、「いつかはGT-Rに乗りたい」という意思を伝え続け、深く交わって信頼関係ができれば、「大事に乗ってくれるなら譲るよ」「●●さんが降りるといってるけど、買いますか?」と市場に出る前に、声がかかる可能性はゼロではない。素性はハッキリしているし、困ったときには前オーナーに相談できるなどメリットは大きい。デメリットは関係が深まれば深まるほど、濃い人間関係が付いてくるので、コミュニケ―ションを取るのが苦手な人にはオススメできないかもしれない。
とにかく、いい個体を安く手に入れたいなら、GT-Rに精通し、ネットワークや交友関係を広げるなど努力することは必要。それが面倒であれば、今後も都内の一等地マンションのように値崩れが少ないはずなので、初期投資は掛かるが、コンディションのいいものを買う。そして、たまに乗る程度(所有欲を満たす)で良好な状態で保管していくなら、後々も損をしない可能性は高く、トータルでは安上がりだろう。「面倒を苦にせず手間暇をかけるか、お金で解決するか」。結局はこの2択ではないだろうか。