オーディオ能力の高さに驚く
単純にタブレットをカーナビ代わりに使うだけではなく、高機能のAVユニットを大画面で操作できるのもこのシステムの大きな魅力である。特に驚いたのはオーディオ性能だ。「FH-7600SC」は失礼ながら見た目は2DINのクレイドル型ユニットだが、この中にこれまでカロッツェリアが培ってきたオーディオ機能が搭載されている。
スピーカーとドライバーの距離を調整する「タイムアライメント」、スピーカー出力レベルの調整、「13バンドグラフィックイコライザー」の搭載によりきめ細かな音質調整が行える。また基本のパワーアンプ部はPower MOS FET による50W×4を搭載するが、RCA出力端子を搭載することでサブウーファーや外部アンプとの接続でシステムアップを行うことができる。
一方で、そこまで細かな音質調整は不要というユーザーに関してはデジタル処理によりパワーとハリのある低音を簡単に選べる「スーパー響サウンド」やクルマのタイプに合わせて音場を簡単に設定できる「イージーサウンドフィット」、小口径のスピーカーでも量感のある低音再生を可能にする「バスビーストブラスター」など多彩な機能を持つ。
特に個人的には「スーパー轟サウンド」が気に入った。理由としてはこれまで多く採用されてきた単純な「バスブースト機能」によるただ低音部だけを増強したのではなく、歪みが少なく、すっきりとした中にも質感を持たせた音作りだったからだ。
さらにカロッツェリアのAVシステムではおなじみの「アドバンスド・サウンドレトリバー」も搭載。MP3などの圧縮形オーディオの音質を補正してくれるこの機能は、スマホなどのデジタル音源を主体に聞くユーザーに歓迎されるだろう。
専用アプリでオーディオを堪能
「SDA-700TAB」にはカロッツェリアオリジナルである「Pioneer Smart Sync for Tablet(パイオニアスマートシンク)」がプリインストールされている。これを使うことで「FH-7600SC」のオーディオ操作や音質調整を全てタブレット側で行うことができるアプリだ。
特に大画面を活用し、楽曲のトラックアップダウンもスッと指でスワイプするだけで簡単に行える。このほかにもディスプレイのイルミネーションカラーなどの調整もわかりやすい。
オーディオ機能に関してはBluetoothやUSBによるオーディオ、ハンズフリー通話に対応。Bluetoothオーディオに関しては高音質の「AACコーデック」に対応し、USBに関しては96kHz/24bitまでのFLAC形式で圧縮保存されたハイレゾ音源やフルHD動画の再生に対応するなど、十分過ぎるほどのスペックと言えるだろう。
未知なる可能性を秘めたシステム
今回初となるAVタブレットシステムではあるが、使って一番感じたことはその将来性である。ベースとなる「FH-7600SC」の高い基本性能は十分に満足できる。つまり「タブレット自体が進化すれば性能はさらに向上する」という点だろう。
「SDA-700TAB」は残念ながら通信モジュール等は搭載していないが、今後通信対応となり、さらなる大画面化、メモリーの増強やSoC(システム・オン・チップ)の高性能化などをクリアすれば“大化け”する可能性も秘めている。
この両機を接続する端子類には特に名称は無いようだが、カロッツェリアもここを「規格化&ネーミング化」することで対応する色々なタブレットなどが選べるようになってくるハズだ。
その点でも第1弾モデルとしての仕上がりも十分、普段の生活でも使われるタブレットを家や外出先、さらにクルマでシームレスに使えるライフスタイルが実現できる点は魅力的であると感じた。
2Dメインユニット[FH-7600SC]
●オープン価格(店頭予想価格3万2000円前後・税別)
□仕様:Bluetooth/USB/チューナー・DSPメインユニットタブレット[SDA-700TAB]
●オープン価格(店頭予想価格3万2000円前後・税別)
□仕様:8インチタブレット
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