シリーズランキングはトップをキープ
アメリカでもっとも人気のあるモータースポーツ「NASCAR(ナスカー)」。唯一の日本人オーナーである服部茂章代表率いる「Hattori Racing Enterprises(HRE)」は、そのナスカーの3大シリーズのひとつである『GANDAR RV&OUTDOORS TRUCK SERIES(トラックシリーズ)』に参戦を続けている。今季も昨シーズンに引き続いてオースティン・ヒル選手を擁し、チームゼッケン16を付けたトヨタ・タンドラで挑戦を続けている。
8月21日(金)、デラウェア州・ドーバーにあるドーバー・インターナショナル・スピードウェイで、トラックシリーズ第13戦となる「KDI OFFICE TECHNOLOGY 200」が開催。このコースは、1周1マイル(1.609km)のショートオーバルコースで、コーナーには24度という深いバンク角を持ち、アクセル全開のままコーナーを回ることができる。
そのため、平均スピードは高く、ショートオーバルとしては「世界最速」を誇る。路面はコンクリート舗装で、スタート時は滑り易いが、周回を重ねタイヤのゴムが路面に付着してくると、突然グリップが変化しアクシデントが起こり易いことから、魔物が潜む「モンスター・マイル」という異名を持つコースである。
新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、このナスカー・トラックシリーズも、5月に再開となった第3戦から、全レース無観客、事前の練習および予選セッションなしの決勝レースだけを行うレースフォーマットでのレースとなっている。決勝グリッド順はシリーズランキングトップ10によるクジ引きにより決定される。
このドーバーのコース200周(第1ステージ45周 、第2ステージ45周 、最終ステージ110周)で開催となる第13戦、HREの16号車を駆るオースティン・ヒル選手は3番手のグリッドを獲得している。21日午後5時にグリーンフラッグが振られ、レースはスタートした。
2列目イン側の好ポジションからスタートをきった16号車は、序盤からスピードを見せて26周目にトップに立つとそのままレースをリード。後続を引き離して第1ステージをトップでチェッカー。このステージブレイクでは、チームは給油と4本のタイヤ交換を行う。直前のイエローコーションでピットインした車両がコース上に留まっていたことから、第2ステージは12番手からの追い上げとなった。
52周目にスタートとなった第2ステージでは、第1ステージとは異なり、中段での走行を強いられる。そのため、前車からの乱気流を車体に受けることとなり車両が安定せず、我慢の走りを強いられる。第2ステージを13番手で走り終え、ステージブレイクのピットインで給油と4本のタイヤ交換をを行いポジションを8番手に上げて最終ステージへと向かう。
97周目に最終ステージが始まると、ヒル選手は、直ぐに7番手に順位を上げると99周目には6番手へと追い上げる。その後は前車とはテール・トゥ・ノーズで前をうかがいながら、そして給油のタイミングを引き延ばしつつの走行を展開。163周目に給油とともに4本のタイヤ交換でコースへ戻るも、ここでタイヤ無交換作戦のチームも多く、ピット時間を短縮したチームのマシンに前にいかれる形となってポジションは一時16番手へと後退。このピット作業を全チームが終えたところでポジションは11番手となっていた。
190周目に前車のスピンがありヒル選手は9番手にポジションアップ。このイエローコーションでHREはフレッシュタイヤでの最後の追い上げを狙って16号車をピットに戻す。上位陣はここでコース上に留まる作戦を取っており、このリスタート後の最後の数周に勝負をかける。残り3周でレースは再開。ヒル選手は10番手から9番手、8番手とラップごとにポジションを上げたものの、ここでチェッカー・フラッグが出され、8位フィニッシュとなった。
ナスカー・トラック・シリーズは連戦となっており、次戦は8月30日(日)、場所をイリノイ州マディソンにあるワールドワイド・テクノロジー・レースウェイ・アット・ゲートウェイで開催されるシリーズ第14戦「CarShield 200 Presented by CK Power」となる。