屋根の低い「薄い車体」をあえてアゲる意外性と面白さが注目されている
ハッチバックでイジろうと考えた時、ほとんどの人は車高を下げることをイメージするだろう。元々ボディが薄くて屋根が低い車体構造は、低く見せるのにうってつけだからだ。
一方リフトアップといえば、箱バンや軽トラなどが似合うとされている。が、「当たり前のことをやっても面白くない」と、かなり以前からハッチバックやオープンカーにもリフトアップするスタイルを提案しているのメーカーがある。軽自動車カスタム界の人気エアロメーカーであり、最近では「ちょいアゲ」のパイオニアとしても知られている千葉県のKLCがそれだ。
ではなぜいまハッチバックで「シャコアゲ」なのか。その理由を探ってみた。
セカンドカー率の高いハッチだからこその「アゲ」
「ハッチバックはワゴンRやN-BOXに比べると車体価格が安いこともあり、セカンドカーに選ぶ人も多い。低予算でカスタムを楽しめて車検にも通り、車高短みたいに行きたい場所に段差で入れないこともなく、どこにでも行ける仕様と考えたら、アゲはうってつけの候補になるんです」。
確かに軽ハッチバックはドレスアップユーザーのセカンドカーとしても選ばれる率が高い。そしてその多くが「メインカーほどはイジれないけれど、やっぱりノーマルでは乗れないよね」という根っからのカスタム好き。メインは車高をサゲてるなら、こっちはあえてアゲて乗る、というのは面白い選択に思える。
「僕もそうでしたが『セカンドだけどノーマルは嫌だからちょっとだけ(イジる)』って最初は考えて、最初は手軽にダウンサスで2〜3センチ落とすんですね。でも結局やり出すと『中途半端に低くてもなぁ』って、結局思っちゃうんですよ(笑)。かといって車高短って本気でやりだすとキリがない。だから逆にバネとタイヤで3〜4センチ車高をアゲげて乗っていた方が、今風でオシャレなんじゃないかと思うんです」。
女性オーナーからも好評な「ちょいアゲ」
またミラトコットやラパンなど、ハッチバック車は女性オーナーに人気の車種も多いのだが、彼女たちにもアゲ系の何とも言えない可愛らしさは高評価。
初代ラパンをジープ・ラングラー風にイジったYさん。既に15年以上前に登場したこのクルマで、イジる人も多い車種だが、その多くがやはりローダウン。実際、彼女はシャコタンのラパンにも乗っている。アゲのパーツは正直ない。なのでおなじスズキのKei用スプリングを使ってリフトアップ。「シャコタンとは見晴らしが全然違いますね(笑)」と感想。
車高短の不良っぽさはなく、みんなと違うオシャレな雰囲気を出せる。しかも腹下を心配せずにラクラク運転出来るとくれば、やはり女性オーナーにとっても嬉しい仕様と言えるはず。
2019年の東京オートサロンでは、ダイハツブースでリフトアップしたミラ・トコットがお披露目された。パッと見のカスタムポイントといえば参考出品のバンパーやドアに奢られた装飾、さらにオプションのルーフキャリアくらい。注目の足元だがTOYO TIRESのオープンカントリーR/Tを履かせて15インチ化。
「プライベートで遊ぶのに使い勝手がいいっていう提案も含めての“あの仕様”だったと思うんですけど、メーカー側がリフトアップをやってくるというのは、かなりアゲも認知されてきているのだな、と。しかも思った以上に好評だったようで、これでやっぱり流れが来ているなと確信しました」。
その東京オートサロンといえばさらに前年の2018年、同じく軽自動車カスタマイズパーツをリリースしているシュピーゲル(埼玉県)が展示した、現行アルトのリフトアップ仕様が相当かなり話題になった。当時は今ほどハッチバックをアゲるという発想がなかったにも関わらずだ。