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オジサンにはしっくりくる「RV」とは何が違う? いま流行の「SUV」は名前が変わっただけじゃなかった

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TEXT: 御堀直嗣(Mihori Naotsugu)  PHOTO: Auto Messe Web編集部、トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、ランドローバー

「ツーリングワゴン」という新ジャンル

 ほかにもスバルが舗装路でも四輪駆動車を利用することを提案し、「ツーリングワゴン」という概念を打ち出した。これも当時でいえばRVに含まれる。ツーリングワゴンという新ジャンルを作ったレガシィのF7:3

 要はジープのような実用第一の四輪駆動車に比べ乗用車的要素が強められていたり、ピックアップトラックにシェルを取り付けたり、ステーションワゴンに四輪駆動性能を与えたりというように、舗装路から未舗装路まで行動範囲を広げながら、それでいて単に目的地へ移動するためだけでなく、行った先で余暇を楽しめる車種を、RV=レクリエーションのためのヴィークルと呼んだのだ。ツーリングワゴンという新ジャンルを作ったレガシィのR7:3

 したがってビッグホーンもパジェロも、ハイラックスサーフもテラノも、そしてツーリングワゴンはレオーネからレガシィの時代となっても、RVの代表格として人気を得た。またツーリングワゴンは、そののちにアウトバックやインプレッサXVへと発展していく。それらはそれぞれの車種のなかでいずれも高い人気を得た。消費者の趣味趣向に応じたクルマたちであり、優劣はつけがたい。ツーリングワゴンから発展して誕生したインプレッサXV

ハリウッドからきたSUVの波

 その後に登場するのが、SUV(スポーツ多目的車)だ。SUVはRVと異なり、トヨタ・ハリアーのように乗用車が基となり、その車高を上げることでRV風、あるいはジープ風としたクルマだ。すなわち余暇を楽しむために出かけるというより、上級4ドアセダンでは差別化がしにくく、背の高い乗用車があれば目立つだろうという消費者志向がきっかけになる。日本のSUVブームを作ったハリアーF7:3

 ハリアーがきっかけを作ったといえるが、その基となるのは米国カリフォルニア州のハリウッド周辺で、富裕層がレンジローバーで街を走るようになったことだとされる。レンジローバーは、ランドローバーの高級仕様であり、アルミ製の車体やフルタイム式四輪駆動を備える点がランドローバーとの差別化となり、車両価格も高かった。日本のSUVブームを作ったハリアーR7:3

 そもそも英国では、ロールスロイスに乗るような富裕層が広大な敷地内を巡るために乗る四輪駆動車を所有していた。それがレンジローバーであった。したがって、そもそも富裕層のための高級四輪駆動車との位置付けだ。それをハリウッド界隈の人たちが街で乗り出したのが目新しかったのである。アメリカのSUVブームはレンジローバーがきっかけと言われている

 普通の4ドアセダンでもなく、クーペやスポーツカーでもない新しい見栄えのクルマとしてRV時代のような荷物を運んだり大勢で出かけたりといった実用性以上に、見栄えにこだわったクルマがSUVだ。悪路走破性よりもスタイリングや乗用性を重視したC-HR

 もちろん、四輪駆動車であれば未舗装路の走破性も高い車種が多く、RVとの境界があいまいな車種もあるが、一方で前輪駆動のSUVも存在するところに、見栄え中心という位置付けが強まる。あるいはSUVでサーキットを走れるような車種も登場し、そこはRVと明らかに異なる。サーキットでも気持ち良く走れるポルシェ・マカン

「ミニバン」がファミリーカーの定番に

 日本ではRVの次にミニバン人気がやってきた。これも家族みんなで出かけられるよう、多人数乗車という実用性が重視される。もちろん人気が沸騰した時代は一人でミニバンに乗る姿もあったが、本来は実用性が第一だ。そのうえでオデッセイがアコードを基に作られたように、乗用車として日常から高速移動まで快適に使える点が、かつてのワンボックス車と異なる。アコードがベースとなった初代オデッセイ

 RVとミニバンは実用性を基本に余暇を楽しんだり、家族の絆を深めたりという、移動以外の目的があった。そこが今日のSUVとはやや異なる本質的意味を持っていた。

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