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4WDはなんでこんなに種類が必要? 「ヨンク」と一括りにできない事情とその中身

メーカーごとの性能差も多々 4WDの種類と正しい使い方

 アウトドアのオフロードから冬の雪道まで、スタックすることなく走り抜けるトラクションをもたらしてくれる駆動システム、4WD(Four Wheel Drive=四輪駆動)とは、4つのタイヤすべてに駆動力を伝える仕掛けを持ったクルマのこと。AWD(All Wheel Drive=全輪駆動)と表現するメーカーもある。

 現在、市販車として採用されている4WDシステムは大きく分けて4タイプ。「パートタイム式」「フルタイム式」「オンデマンド式」、そして「トルクスプリット式」だ。さらに近年は「電動モーター式」も登場している。そのシステムにはいくつかのタイプがあるので、改めて取り上げてみよう。

パートタイム式

 もっともシンプルで硬派なのが「パートタイム式」。トランスファーと呼ばれる前後の駆動力を繋げるメカニズムを持ち、ドライバーの手動操作によって2WDと4WDを切り替えることができる。

 メリットはふたつあり、構造がシンプルだから信頼性が高いことと、悪路で強力なトラクションを稼げること。「直結」と呼ぶ前後の駆動を機械的に結合することが可能で、その状態が特定のタイヤの空転を防ぐから悪路走破性が高いのだ。

 なので、トヨタ「ランドクルーザー70」やジープ「ラングラー」(現行世代では一部グレード)、ジムニーなど本格的な悪路を走ることを前提に作られたクロスカントリーSUVに多く採用される。また、軽トラックなどにも採用例が多い。

 パートタイム式は走行状況によって「2WD」「4WDハイ(H)」「4WDロー(L)」そして「ロック」などをドライバーが選択する。舗装路などでは「2WD」、4WDが必要な高い速度粋では「4WDハイ(H)」、本格悪路などで強い力が必要なら「4WDロー(L)」を利用。切り替えはレバーの場合とスイッチの場合がある。

フルタイム式

「フルタイム式」は常に4WDで走行する。そのため前後の駆動の回転差を吸収するディファレンシャルギヤを組み込むのがシステム上の特徴だ。

 パートタイム式4WDで生じる“タイトコーナーブレーキング現象”(旋回時にブレーキがかかったような挙動を示す現象)を無くせるので舗装路との相性がよく、かつては日常的なクルマからスポーツ走行用のクルマまで幅広く使われていた。

 基本的に悪路走行は得意ではないが、昨今はデフロックに加えてトラクション能力を高める電子デバイスが進化したので、トヨタ「ランドクルーザー」をはじめ悪路走行向け4WD車への搭載も増えている。

オンデマンド式

  一般乗用車で増えているのが「オンデマンド式」だ。通常は前後どちらか(基本的には前輪)の駆動力だけを使い、必要な時だけ自動的に4WDとなる仕掛けで、スリップなどで前後のタイヤに回転差が生じると他のタイヤへも駆動力を伝えることになる。

 雪道など滑りやすい路面で発進をサポートする目的には最適だ。あくまで状況を反映して受身的に4WDとする機構で、「スタンバイ式」とも呼ばれる。コストアップや重量増を抑えやすく、一般的で比較的価格帯の低い車両ではこのタイプの4WDが多い。

トルクスプリット式

 いっぽうで、電子制御を用いて前輪と後輪の駆動配分を積極的にコントロールして走行性能を高めるのが「トルクスプリット式」だ。「アクティブオンデマンド式」と呼ばれることもある。制御は自動で行われるが、なかにはドライバーの好みで制御モードを切り替えられる車種も存在。

 前後駆動配分の変化幅も大きく、走行状態を反映して最適な駆動状態を作り出すのが得意だから、路面状況を予測しつつクルマの挙動を作り出し、ハンドリングやドライバビリティに強く介入できるのが長所だ。舗装路で速さを競うようなクルマとのマッチングも抜群である。コストが高めなので高性能車に用いられることが多いが、近年は広く拡大しつつあるといえる。

電動4WDも増えている

 そんな4WDの最近の動きは、サブとなる駆動輪をモーターだけで駆動する電動4WDが増えていること。

 日産の「e-4WD」やトヨタの「E-Four」などのほか、高い走行性能が自慢のホンダ「NSX」や「レジェンド」もそれに相当する。

 またボルボやミニのプラグインハイブリッド車も、前輪はエンジン駆動としつつ後輪はモーターのみで駆動する電動4WDだ。

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