普通のクルマで訪れてもまったく問題ない
キャンプ初心者が間違いやすいのが、アウトドアやキャンプに行くには、荒れた道も安心して走破できる本格SUVじゃないとたどり着けない、つまりアウトドア=SUV・・・・・・という先入観は勘違いだ。
実際、あちこちのキャンプ場を訪れた経験からすれば、日本のアウトドアフィールド、オートキャンプ場のほとんどは、幹線からのアクセス路が整備されていて、キャンプフィールド周りの道も、普通のクルマで入れるようになっていることが多い。そもそも、キャンピングカーが本格SUVベースでもなければ、最低地上高に余裕あるクルマでもないことからも、それを理解できるはず。
悪路走破性を重視して、ジムニーのような悪路にはめっぽう強いけれど、室内空間、荷室の狭いクルマを選んでしまうと、キャンプ用品が積み切れなくて困った、なんていう事態にもなりうるのだ。
もちろん、向かうアウトドアフィールド、キャンプ場のアクセス路、キャンプフィールド周りの道の整備状況を事前に確認しておく必要はあるものの、まず、普通のクルマで訪れてもまったく問題ないのが日本のアウトドア、キャンプなのである。
考えてもみれば、本格SUVでしかアクセスできないような悪路の先にある場所だとすれば、多くの人が敬遠し、経営が成り立たないではないか。実際、ボクが訪れたことのある、那須の大自然を満喫でき、露天風呂もある「那須たかはらオートキャンプ場」や、ファミリーにも最適な設備充実の「キャンプ&キャビンズ那須」は、それこそセダンでだって容易にアクセス可能。
幹線道路からのアクセス路は舗装路で、キャンプ場内こそジャリ道ながら、設備を含め、誰もが訪れやすいようにしっかり整備されている。それぐらい日本のアウトドア、キャンプフィールドは、乗っていくクルマを選ばない、初心者にもやさしいところがほとんどなのである。
そこで注目すべきポイントは、走破性よりも荷物の積載性にこだわったクルマ選びという発想転換である。ソロ、カップルならどんなクルマでもOKだが(荷室+後席にアウトドア/キャンプ用品を積載すれば済む)、4人以上で出掛けるなら、むしろミニバンのような大空間、大容量のクルマが適切だったりする。
ボックス型ミニバンなら荷室開口部がベンチ代わりになる
例えばホンダ・オデッセイ。3列目席を床下にすっきり格納することで、拡大荷室フロアは幅1220mm、奥行は3列目席格納時で最小815mm~最大1550mm(2列目席のスライド位置による)、天井高1220mmという大空間が出現。
しかも、荷室開口部地上高はアブソルートで515mmと、世界のステーションワゴンの同平均値620mmより圧倒的に低く、重い荷物の出し入れも楽々。まさに大容量ワゴンと呼べるクルマにアレンジできるのだ。それだけじゃない。
アルファードやノア、ステップワゴン、セレナといったボックス型ミニバンは、3列目席格納前提ではあるものの、広大で天井の高い拡大荷室フロアを備えるだけでなく、万一の雨の際、大きなバックドアがボディ後端から約1m張り出した(寸法は各車の平均値)ひさしになる点に注目だ。荷室開口部がベンチ代わりになり、雨をしのげるどころか、雨の景色を濡れずに楽しめるのである。
さらに、高地、山間部でありがちな、予期せぬ大雨や強風に見舞われ、テントから一時避難しなければならない緊急事態でも、室内空間に余裕があり、1-3列(または2-3列)フルフラットアレンジが可能なミニバンなら、車内がリビング、ベッドスペース、避難場所になるから心強い。HVミニバンでAC100V/1500Wコンセントが付いていれば、車内外でコーヒーメーカーや照明なども使え、一時避難中も不自由しなくて済むのである。
もちろん、生活4駆レベルの走破性であっても、4WDを選べば、さらに安心だろう。晴れているときにフツーに走れる道が、大雨でぬかるみまくって滑りやすくなった路面状況で威力を発揮してくれる。ちなみに、超心配性の人が、そこまで言っても、悪路走破性にこだわるなら、世界でほぼ唯一、ミニバン×本格SUVの実用性と機能、走破性を兼ね備えるデリカD:5を選択すればいい。
車内の大空間、荷物の積載力(実際、三菱ファンのアウトドア派は、荷物の積載力から、アウトランダーではなく、デリカD:5を選ぶ傾向がある)、車内がリビングにもベッドルームにもなるシートアレンジ性、バックドアのひさし機能、そして抜群の悪路走破性のすべてが手に入る。