ヘルメットもグローブも不要
では次に敷居が低いといわれる理由を挙げていく。オートテストはレースのように何台もの車両が一斉にスタートするのではなく、単独走行なのでほかの車両にぶつかる可能性がない。また上で書いたとおり必然的に最高速度が抑えられているうえ、接触するとしてもカラーコーン程度なので車両へのダメージはほぼない。
そしてビギナーの心理的なハードルを下げてくれる一番の要素は、車両に特別なチューニングは不要で、フルノーマルで参加できること。それがサーキット走行であれば最低限ブレーキパッドにタイヤ、また車種によっては水温や油温の対策が必要になる。ところがオートテストは走行時間が短く速度も低いため、クルマにかかる負担は比較にならないほど小さい。
さらに服装についても運転しやすいシューズさえ履いていれば問題なく、レーシングスーツやグローブどころかヘルメットすら不要。クルマとドライバーは普段の通勤や買い物に使っている状態で大丈夫だし、1台の車両で複数名がエントリーしたり助手席に誰かを乗せることも可能と、ほかのカテゴリーではあり得ないことばかりだ。
完走者は国内B級ライセンスが取得できる
参加料金も開催場所によって差はあれど3000円〜と安価で、完走者は国内B級ライセンスが取得できたりと、次のステップへ進む道も用意される。ここ数年で国内B級ライセンスの発給数が増えているのは、間違いなくオートテストが影響しているだろう。
実施クラスはマニュアルとオートマ、経験者と未経験者などで分けられ、上位に入賞すればレースと同じように賞状などが贈られる。敷居こそ低いがモータースポーツらしさがキチンと味わえるのも、オートテストが多くの人に支持される理由だろう。
なお2020年は新型コロナウイルスの影響で、日程の大幅な変更を余儀なくされている。最新のスケジュールはJAFのウェブサイト(http://jaf-sports.jp/autotest/)に掲載されているので、参加してみたい人はチェックしてほしい。