仕事もカスタムも両立! 今風トラックカスタムの実車に迫る
コンプライアンスという言葉が市民権を得て以降、昭和のど真ん中のいくような、昔気質の派手系トラックで仕事をしながら走るのが難しいご時世になっている。とはいえトラックカスタムが無くなったワケではなく、そのルールに合わせて姿を変えている。それが今回紹介する「仕事車」というジャンルだ。
今回はそんな「仕事車」に乗り、カスタマイズと仕事を両立させているドライバーのNさんのクルマと、そのお仕事ぶりを紹介。あわせてトラックドライバーの仕事ぶりにも迫っていく。
最近のトラックはハイテク装備が満載!
ベースは平成29年式の三菱ふそう・スーパーグレート。2017年、21年ぶりにモデルチェンジした現行モデルだ。
このトラック、普通車もビックリの安全機能が色々搭載されている。例えば車間距離保持機能付オートクルーズに停止・発進機能をプラスしたプロキシミティ・コントロール・アシストをベースとして、横方向の車両制御を追加。また 高精度のレーダーとカメラからの情報を的確に分析することで、国内初となる高度運転支援機能を実現。
さらに運転時の操舵量や蛇行率、平均車速など、運転状態をモニターし、さらに顔認識カメラによりドライバーのわき見やまぶたの動きを感知する「アクティブ・アテンション・アシスト」も搭載。他にもレーンキープ機能やハンズオン検知システム、車線逸脱防止機能なども盛り込まれている。
「仕事車」仕様へ生まれ変わった「黒銀カラー」のスーパーグレート
そんなスーパーグレートのステアリングを握るのがドライバーのNさん。トラッカー歴は20年というベテランだ。
ごく一般の人が見たら「普通とは違う気がするけど、どこをどうイジっているか分からない」、まさに仕事車仕様。サイドバンパーやリアバンパー、ガセットなどの飾りはすべて勤務先の陸東運輸の自社工場で製作。実は運送業のほかに架装や塗装も行なっていて、このスーパーグレートは言うなれば「陸東仕様」というわけだ。
広い車輌置場と社屋を持つ陸東運輸は、巨大な工場と塗装ブースを完備。タイヤチェンジャーのほか、シャーリングマシンやプレス機といった工作機械も所有し、自社車輌の整備はもとよりアートパーツの製作や架装も行なっているという。
塗装ブースには他社のスーパーグレートが入っていた。陸東運輸ではディーラーからの塗装や架装などの発注も請け負っているという。
話をNさんの「スパグレ」に戻そう。フロントバンパーの中央にはオーバーライダーを装着。パネルはメッキ化し、中央部分をブラックに塗装している。フロントフェンダーも同社でメッキ化した。
ハイルーフのフロント側には「陸東」の文字と「丸に笹竜胆」の家紋が掲げられている。その下には小型のバイザーを装備。エアクリーナーのダクトもメッキ化している。
メーターアオリは25kgまたは30kgパックのお米を規定の積載量まで積み上げられる高さに設定している。「高床のウイングなので、帰り荷も飼料や肥料などの重いものを積むことが多いです」とNさん。
サイドバンパーは角パイプの3段構成。がっしりしたフロントのガセットの上には角パイプのボディハシゴを装備。マフラーカバーやバッテリーカバーはメッキ化して装着している。車輪止めのホルダーにはウロコステンレスの板に「三菱」の文字を描いた小粋な装飾が配置されている。
キャブ後部にトラック用エアコン室外機を設置。待ち時間や休憩時間はアイドリングストップしても快適に過ごせるエコ仕様というワケだ。
リアバンパーはM字の造形で製作。バンパー中央と化粧板の左右には花魁COMBOのLEDテールが配置されている。その奥に奢られたエッジの効いたデザインのマッドガードも「陸東仕様」だ。
Nさんはこの相棒と共に地元東北の名産でもあるお米を主に運搬している。取材時は2日間かけて宮城→山形→茨城の各納品先へ「全ベタ(一般道を走行すること)」で約800キロ走らせたそうだ。