【JZX110系マークII iR-V】2000年10月〜2004年11月
スタイルを一新し、グレード名もツアラーから「IR」へ変更され、走りの良さを主張したJZX110は、ドライバーズセダンを標榜し、クラウンと共通化されたシャーシの4ドアセダンとして登場した。
ボディはそれまでのハードトップスタイルからセダンに変更され、全高が60mmも高くなり、ゆったりした室内空間を実現している。スポーツを全面に押し出したツアラー系とは異なり、上質な走りを目指したスポーツサルーン的な存在だった。
【JZX110系ヴェロッサ VR25】2001年7月〜2004年4年
チェイサーとクレスタが廃止された110系に、イタリアンデザインを取り入れた個性派セダンとして追加されたヴェロッサ。グリル両端のスリットや、フェンダーを強調するキャラクターラインが特徴的だった。
スポーツグレードはIR-Vと同等のスペックをもつVR25。しかし個性が強すぎたためか、90/100系チェイサーほどの人気を集めることはできなかった。
チューニングベース車としてのツアラーV
高級志向だったマークIIシリーズにスポーティな走りを求める層は決して多くはなかったが、FRで280psのターボ車、しかも5MTの設定もあるツアラーVはチューニング界で注目を集め、ベース車両としてさまざまなパーツが開発された。
ブーストアップやタービン交換に始まり、3.0ℓの2JZ-GEのシリンダーブロックをはじめとした腰下パーツを流用した排気量アップ化は「1.5J」と呼ばれ、600psオーバーを狙える。1JZと2JZはピストン径やボアピッチが同一のため組み合わせることができ、さらにパワーを求めると2JZに載せ換えということも可能だ。
このようにステップアップできるチューニングメニューも確立され、エンジンが壊れにくいところも長所といえる。また、使い込まれた5MT車よりも安価なAT車をベースにしてMTに載せ換えるといった方法もある。
ドリフトシーンを駆け抜けたツアラーV
ツアラー人気は、D1をはじめとするドリフト競技を外すことはできない。FR駆動とハイパワーエンジンの組み合わせはドリフトベース車として注目され、人気を集めることになった。ドリフト競技では豪快な走りを実現するために、どんどんハイパワー化していく。
それまでのベース車両はシルビアなど小型のFR車が多かったが、4気筒エンジンのチューニングには限界があり、さらにパワーを追求していくと6気筒搭載車が有利となる。1.5J化さらに2Jに載せ換え、ハイパワーを発揮するチューニングにより90/100系は、長い間一線級のドリフトマシンとして人気を集め、国内はもちろん海外でも高い評価を得た。こういったドリフト人気やスタイリングの良さ、憧れから、まだまだ人気が衰える気配はない。
高値安定の中古車相場と今後の動向
JZX90/100のツアラーVは、現在でも高値安定傾向を維持している。一般的に高級セダンは値落ち幅が大きく、年式が旧くなると下取り価格もほぼ無くなってしまう。しかし90/100ツアラー系の5MTは150万超えはもちろん、程度によっては250万を超える個体もある。
さらにドリ車などで荒く乗られた個体が多いため、程度が良いものは少なくなっているということも価格高騰の原因のひとつだ。狙い目は程度の良いAT車をベースに5MT化するといった方法か。
またフォーミュラDなど、海外のドリフト競技でも大活躍する100系は外国人にもファンが多く、今後、米国の25年ルールの影響を受ける100系ツアラーVの多くが海を渡ってしまうことだろう。そうなれば、さらに相場が高騰してしまうかもしれない。