【ランサーエボリューション6】CP9A/1999年1月発表
WRCのレギュレーションが1999年シーズンより変更されることに合わせ、リヤウィングを小型化する一方で二枚構成に変更し、ランエボ5と同等のダウンフォースを確保しているが、より一層目を引く変更点はむしろフロントだろう。 フォグランプを小型化し、バンパー両端を曲面形状としたうえで、ライセンスプレートの取り付け位置を前進方向左側へオフセット。オイルクーラーベンチレーターやエアブローダクトを新たに採用すると同時に、エンジン側も水温制御方式の変更、ピストンへのクーリングチャンネル追加、エンジンオイルクーラーの大型化により、冷却性能を大幅に改善している。
またエンジンは、エアインテークホースとターボチャージャー吸入口の径を拡大。「RS」には世界初のチタンアルミ合金製タービンホイールを採用することで、高回転域での性能・レスポンスを向上させた。
シャシーもさらに進化しており、フロントサスペンションのロールセンターが下げられるとともに、リヤサスペンションの各アーム類をアルミ鍛造製とし、リバウンドストロークも増大。ブレンボ製ブレーキも、キャリパーの剛性アップと整備性向上が図られている。
このランエボ6は1999年シーズンの初戦からWRCに投入され、トミー・マキネンがドライバーズタイトル四連覇を達成した。
【ランサー・エボリューション6トミー・マキネンエディション】CP9A/1999年12月発表
WRC 4連覇を達成したエースドライバー、トミー・マキネンの名を冠したこのモデルは、決してただのアニバーサリーモデルではない。操舵レスポンスを高めるチューニングが施されたサスペンション(「RS」にはランエボ6と同じサスペンションをオプション設定)に加え、ランエボ6では「RS」にのみ採用されていたフロントラットタワーバーと、ギヤ比がよりクイックなステアリングが「GSR」にも標準装備されるなど、ターマック(舗装路)に特化した仕様として生み出された。
またエンジンも、コンプレッサーホイール径を小型化し翼形状を変更したチタンアルミ合金製ターボチャージャーを「GSR」に標準装備し「RS」にオプション設定。大口径シングル真円テールパイプを採用した新構造のスポーツマフラーも新たに採用され、中低速でのトルクおよびレスポンスがアップしている。
そのうえフロントバンパーは再びデザインが変更され、フォグランプが廃止されるとともに各部の開口部が拡大され、さらなる冷却効率の向上が図られている。
このトミー・マキネンエディションは2000年シーズンよりWRCに投入。1997年より導入されたWRカー規定にライバルが次々と移行し戦闘力を高めていくなか、三菱は市販車との関連性が強いグループA規定にこだわり続けていたが、いよいよ限界を迎えてしまう。2000年シーズンは1勝に留まり、翌2001年シーズンは第13戦サンレモからWRカー規定のランサーWRCを投入するまでの間に3勝をあげるが、シーズンチャンピオンを獲得するには至らなかった。