名機と呼ばれる2T-Gエンジンを搭載
メカニズム的には、トヨタの傑作エンジンとして知られる2T-Gエンジンを最初に搭載したモデルとして注目されていました。そもそもT型エンジンは、カリーナとセリカに搭載されるエンジンとして新開発されたものでした。
結果的には一足早く、1.4リッタープッシュロッドのT型が、弟分のカローラ1400に搭載されましたが、1.6リッタープッシュロッドの2T型と、それをベースにヤマハ発動機で開発された8バルブ・ツインカムヘッドを組み込んだ2T-Gエンジンはカリーナとセリカに搭載されてデビューを果たしています。
「スペシャリティカー」の定義の一つに、スポーツカーではなくスポーティなクルマ、というのがあるようですが、2T-Gエンジンの存在によりスポーティなクルマからは随分スポーツカーに近い立ち位置になったようです。
サスペンションは、フロントにはコンサバなマクファーソンストラット+コイルを採用していましたが、リアにはリジッドながらラテラルロッドを追加した4リンク+コイルスプリングと、よりハイレベルなシステムを採用。
弟分のカローラ系よりもシャシー性能が高められていました。そのことは、後に2T-Gエンジンを移植されたカローラ系のTE27レビン・トレノがウェイト的には軽かったもののハンドリングが“じゃじゃ馬”のよう、との声でも明らかです。
73年のマイナーチェンジでLBと2リッター直4も追加
「フルチョイスシステム」を採用しながらも、ボディは3ボックス2ドアクーペの1タイプでエンジンも1.6リッターのツインカムとプッシュロッドの1.6リッター/1.4リッターの3タイプのみだったセリカですが、73年のマイナーチェンジ(MC)を機に、後部をファストバック形状としテールゲートを設けたリフトバック(LB)が登場しボディは2タイプから選べるようになりました。
また同時にマークIIなどに搭載されていた2リッター直4の18R系が選べるようになり、購入希望者の選択肢はさらに広がっていきました。ただしデビュー当初に2ドアクーペの1600GTが突出して販売台数を伸ばしたのと同様、このMC以降は18R系でも8バルブ・ツインカムヘッドを組み込んだ18R-GエンジンをLBボディに搭載したLB 2000GTの人気が急騰しました。
それが原因なのか、現在でもヒストリックカーイベントなどでセリカが出展される場合、この初代モデルのLB 2000GTが引っ張りだされるケースが多くなっています。そういえば先日、幕張メッセで開催されたオートモビルカウンシルでもトヨタ自動車/トヨタ博物館のブースでセリカの生誕50周年を記念したブースが展開されていましたが、そこに登場した初代セリカはシルバーメタリックのLB 2000GTでした。
還暦を超えた自動車大好き少年にとって、初代セリカといえばブルーの1600GT(もちろんクーペ・ボディ)だったのですが、これってマニアック過ぎますかね?