そしてコペンでWRCに復帰「想いあらば、夢 叶う」
殿村さんに「LA400Kコペンの素晴らしさとは何か?」をズバリ訊いたところ「コーナリングスピードは世界一レベルだと言っても過言ではありません」とひとこと。それは、「4輪接地」に尽きるという。
自分がつくったコペンでシリーズチャンピオンになったのだから、言葉の重みがまったく違う。そればかりではなく、2020年はJAFのマニュファクチャラー委員にもなり、モータースポーツ全体の発展にも寄与する立場にもついた。
「次の目標はCVTから5MTにチェンジし、全日本ジムカーナにステップアップして、ちいさなクルマの可能性をもっともっと試して行きたいと思っています。新型コペンの開発でも常に念頭にあった、マツダのロードスターとの競争に飛び込んで行きます。ちいさなクルマが発展してこそ、日本のモータースポーツの裾野は活況すると信じています。“想いあらば、夢 叶う”です」。
まだある。殿村さんにとっては、三菱以来のWRCへの復帰へと続く。自ら開発に携わった新型コペン、すなわち軽自動車で世界ラリーに挑戦するという、壮大なプロジェクトを立ち上げ、チーム監督に就任。残念ながら2020年の「WRC ラリージャパン」はコロナの影響で中止になったが、昨年開催されたプレイベントでは、殿村さん率いるコペンがクラス2位を獲得。ここではコペンのポテンシャルを世界へアピールすることに成功。
会場では、三菱時代にタイトルを獲得したときのドライバー トミ・マキネンや、同期のエンジニアとも嬉しい再会も果たしている。彼らは、いまやトヨタのGRチームを支える存在なのだが、第四のコペンと言われている「コペン GR-SPORT」との関係性も含め、殿村さんの人生は、すべてが神がかっているとしか言いようがない。
三菱からダイハツに来て、いろいろな夢を叶えてきた。そこにあったのは「ちいさなクルマ」の可能性を示したいという強い“想い”だ。
ちいさなクルマの可能性を説く伝道師
今年から全日本を戦う殿村さんの5MTコペンは、昨年までのCVT車とはカラーリングを一新。とあるファッション誌で、年頭に初掲載された誌面のデザインとメッセージにインスパイアされ、ボディカラーをドレスフォーメーションしたもの。
そのメッセージとは、地球のありよう(ナチュラリー)を考え、地球の命を持続可能(サステナビリティ)にし、何より大事なのがワクワク(クリエイティビティ)することなのだそうだ。
自動車を永続性あるものにするには、地球との親和が必要で、省エネルギーはその答えのひとつ。省エネルギーこそ、移動エネルギーが少ない『ちいさなクルマ』が持つ最大の可能性である。
「日本で一番ちいさいクルマは軽自動車です。コペンでのモータースポーツ参戦を通じて、そんなメッセージをこれからも発信し続けていきたいです」。