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42年で「110万km走行」でも問題なし! メルセデス・ベンツの「衝撃オーナー」を直撃した

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TEXT: 妻谷裕二(TSUMATANI Hiroji)  PHOTO: 妻谷裕二  [取材・撮影協力] 八木唯良さま

各種記念カーバッジと感謝状

 車両のラジエーターグリルには10万km、20万km、30万km、50万km、100万kmの達成記念カーバッジとワンオーナー所有30年記念バッジが飾られ、別途保有の各距離が刻印されたピンバッジや各距離の達成表彰状等も見せていただいた。各種バッジが装着されたメルセデス・ベンツ300Dのフロントグリル

  特に今まで筆者がお目に掛かる事が無かった、ダイムラー社から贈呈された紺のビロードケースに入る100万km記念バッジは特製の七宝焼きで、ピンバッジのスリーポインテッドスターの中央には燦然と輝くサファイアが埋め込まれていた。現在の100万km達成記念カーバッジとワンオーナー所有30年記念バッジは、ラジエーターグリルにも装着されている。ダイムラー社から贈呈された紺のビロードケースに入る100万km記念バッジ

 また、ヤナセから永きに亘るご愛顧に対する錫の感謝状(銘板)と時計も大切にされていた。「車は道具、飾りものではなく毎日乗ること」が八木さんのポリシー。今回、八木さんからいろいろなお話を伺って、「毎日乗り、こまめに手入れすること」がいかに大切かよく解った。ヤナセから永きに亘るご愛顧に対する錫の感謝銘板と時計

 現在のクルマではなく、あえて手間のかかるこの300Dを所有する八木さんのこだわりは、「見えないところまで徹底的に仕上げる」という当時のメルセデス・ベンツから感じとれるオーバーエンジニアリング、オーバークオリティの精神に惚れ込んでいるからではないだろうか。メルセデス・ベンツ240D/300Dのポスター

 例えば、モリブデン加工したピストンリングの採用。モリブデンは高価だが、ピストンリングのコーティング用材料に最適だ。その理由は硬質で耐久性と耐熱性があり、多孔質表面なのでオイルの持続性が良いためエンジンの寿命が伸び、オイル消費も少なくなる。モリブデン加工したピストンリングのイラスト

 また、独自の予燃焼室に備えられた特許のボールピンも、エンジン・ノイズを減少しスムーズな回転に役立っている。このボールピンは高価で耐熱性の高いニモニック(Nimonic=ニッケル・モリブデン合金)で造られているのだ。予燃焼室に備えられた特許のボールピン

 そしてドアロックは2重の構造に。1958年に特許を取得した「くさび型ピンロック」は、事故の衝撃でドアが開くことを防止すると同時に、救出の際には容易にドアを開けられるようになっている。左右上下から掛かる力にも強く、ドアを閉めた時に発するあの「ドスッ」という重厚な音も、当時のメルセデス・ベンツならではの雰囲気を感じさせてくれる。

 取材の最後に、購入時のヤナセ担当者より「メルセデス・ベンツのディーゼルは一生ものですよ」と言われ、「事実その通りになってきたね」と笑顔で語っていただきました。メルセデス・ベンツのオーナーに贈られる各種表彰バッジ

 夏の暑い時期にもかかわらず快く取材にご対応いただき、さらに貴重な資料まで提供いただきましたオーナーの八木さまに心よりお礼申し上げます。

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  • 走行100万km達成の感謝状
  • ワンオーナー所有30年の感謝状
  • 1958年に特許を取得した「くさび型ピンロック」オス側
  • 1958年に特許を取得した「くさび型ピンロック」メス側
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  • 妻谷裕二(TSUMATANI Hiroji)
  • 妻谷裕二(TSUMATANI Hiroji)
  • 1949年生まれで幼少の頃から車に興味を持ち、40年間に亘りヤナセで販売促進・営業管理・教育訓練に従事。特にメルセデス・ベンツ輸入販売促進企画やセールスの経験を生かし、メーカーに基づいた日本版のカタログや販売教育資料等を制作。またメルセデス・ベンツの安全性を解説する独自の講演会も実施。趣味はクラシックカー、プラモデル、ドイツ語翻訳。現在は大阪日独協会会員。
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