その他、リフトアップするならこんなことにも注意しよう
●40ミリを越える車高アップは要構造変更
全高の変化量が±40ミリを越える場合は構造変更が必要、という法規がある。よってちょいアゲであればまず構造変更は不要で、2インチアップ以上になると必要になるという感じだ。
ただこれは正確には「指定外部品」を使って車高を変えた場合の話。「指定部品」を使ってリフトアップした場合には当てはまらない。スプリング、ショック、車高調といったパーツは指定部品なので、これらで41ミリ以上上げた場合は構造変更は不要となる(しかしそうしたリフトアップキットは数少ない)。
タイヤも指定部品につき、外径を大きくして車高が上がっても基本的にはお咎めなしだが、外径が規定を超えるとアウト。タイヤ外径が大きすぎるとスピードメーターの数値より実速度の方が速くなってしまうからだ。具体的にはメーターが40㎞/hを指した時、実速度が30.9~42.55㎞/hの範囲内に収まらないとダメ。もちろんタイヤがフェンダーからはみ出してもNGとなる。
一方、スペーサーやブロック類は指定外部品。2インチ以上のリフトアップキットの場合、ほぼ確実にこうした指定外部品が使われる。よって構造変更も必須となる。構造変更と聞くと初心者は思わず構えてしまうが、ショップに依頼すれば3~5万円ほどで請け負ってもらえるし、以後は公認状態で安心して乗れる。
だが全高が2メートルを越えると1ナンバー車になってしまう。税金面や手間から軽バンを1ナンバー登録する人は皆無だろうから、いくら上げても全高2メートル以下というのが基準になるだろう。ちなみにN-VANは純正で全高が1945ミリ(四駆は1960ミリ)もあるので、チョイアゲがせいぜいということになる。
●直前直左視界をしっかり確保すること
車高が上がると助手席側の前方(直前)、そして助手席側の側方(直左)が見えにくくなる。たとえば小さな子どもがそこにいた場合でも、目視できない可能性がある。そのため車検時にはココを厳しくチェックされる。具体的には直径30センチ×高さ100センチの円柱型テスターを直前直左に置き、目視できるかどうか。できなければ対策を講じないと車検には通らない。
直前視界は前方を映すカメラ&それを確認できるモニター、またはモニター付きのドラレコが視認できる位置にあればOK。直左視界はドアミラー下に補助ミラーを追加したり、サイドカメラ&それを確認できるモニターを設置すればOK。いずれも簡易的な取り付けではなく、ガッチリ固定され、配線も見えない状態にする必要がある。
こうした対策はだいたい2インチ以上から必要となる。チョイアゲは微妙なラインだが、それほど大きなタイヤを履かせていなければ対策なしで車検に通ることも多いようだ。
●アライメントや光軸の狂いを補正する
リフトアップするとアライメントが確実に狂う。特にキャンバー角とトー角はしっかり調整しないと真っ直ぐ走らず、さらにすごい勢いでタイヤが偏摩耗する。ただでさえオフロード系タイヤはオンロードでのグリップ性能が若干落ちる上、摩耗も早い。安全に乗るためにもアライメント調整はきちんとプロにやってもらおう。
ヘッドライトの光軸もたいていおかしくなる。ロービームでもハイビーム気味になったりと、対向車に迷惑を掛けることもある。そんな状態ではもちろん車検も通らないので注意だ。
あとは自動ブレーキ車だが、車高アップに伴ってセンサー位置が変わり、正常に機能しなくなるのではないか…という危惧もある。ただこれは車種やメーカーによっても変わってくるし、何ミリ変化したら機能に変化が出るかなど実証できておらず、どうすれば正解なのかハッキリしていない。
「エーミング」といってセンサーの再調整をするケースもあるが、それで万全ともいい切れない。法的に何か規則があるわけでもないので、この辺の判断は施工店に任せるしかない。