間違った使用は「科料もしくは罰金2万円以下」の罰則
道路交通法・第54条に記されている。原則として『クラクションは鳴らしてはいけないもの』ということを認識すべきだ。
危険を避けたり、注意喚起以外の目的でクラクションを使用した場合、“警音器使用制限違反”となり2万円以下の科料もしくは罰金が課せられる(違反点数はない)。
ドライブレコーダーが普及している現在、クラクションを鳴らされた側が「相手の鳴らし方に悪意があった」と警察に届け出れば、録画が煽り運転の証拠になる可能性だってゼロではない。
とはいえ、例えば前方のドライバーが、信号が青になったことにまったく気づかず、やむをえずクラクションを使わざるえない時だってあるはずだ。
警視庁・交通相談(窓口)に聞いてみた。
「条文に従えばクラクションは鳴らしてはいけません。もっとも、前車のドライバーが寝ていたり、気絶していることなども考えられるので明言はできません。ただし、そうした特別な状況であれば、鳴らしたからといって取り締まりの対象になることはありません」。
ケースバイケース。「鳴らさないこと」に固執することはないということ。要は鳴らし方なのだ。
自分がクラクションを鳴らされた側だとして、短く1回「ビッ!」と鳴らされるのと、何秒も「ビーッ!!!」と鳴らされ続けたり、しつこく連続して何回も鳴らされるのと、どちらに不快感を覚え、相手に悪意を感じるだろう?
さらに、ハザードランプでのサイン同様、挨拶以外に、合流や狭い道のすれ違い、車線変更などで道を譲られた際、感謝の気持ちを伝えるためにクラクションを使う人もいる。
本人はグッドマナーのつもりかもしれないが、「違反」と明文化されていないハザードサインと違い、こちらは道交法に抵触するので注意が必要だ。繰り返すが、本来と異なる目的で使用することが理由だ。
その取り締まりが実施されていることも、それが理由で捕まったという話も聞いたことはないが、わざわざ違反することもない。どうしても感謝の気持ちを示したいのであれば、手を上げたり、会釈をしたり、あるいは(筆者は絶対にしないが)ハザードランプで感謝の気持ちを伝えればいい。
クラクションを鳴らさないと違反になるケースも
逆に、クラクションは「鳴らさない」ことが処罰(警音器吹聴義務違反)の対象になることがある。
例えば、山地部の道路や、そのほかの曲折が多い道路で道路標識などによって指定された左右の見通しのきかない交差点、また、見通しのきかない道路の曲がり角、さらに、見通しのきかない上り坂の頂上を通行しようとする場合など。違反すれば5万円以下の罰金と違反点数1点が課せられる。鳴らすべき場所には「警笛ならせ」「警笛区間」のふたつ道路標識がある。見落とさないようにしたい。
依然として運転マナーは改善されないどころか、暴行や殺人といった事件にまで発展することもある煽り運転など、年々交通トラブルが悪質化・凶悪化する日本。
いつか、一般のドライバーによる“令和のクラクション殺人事件”が起こるのではないかと考えるのは、ただの取り越し苦労だろうか?