ジムカーナ&レース、公式戦出場を目指す スポーツカー大好き女子が本格レッスン開始
モータースポーツをはじめるにあたり、いわゆるミニサーキットやショートコースと呼ばれるところで経験を積んで、さらには腕を磨き、本格的なジムカーナ競技や公式レース出場へとステップアップしていくのは「もう、それしかない!!」というぐらいの常套手段。どんな先輩レーサーも、いきなり速かったわけではない。もちろんみんな、一度はミニサーキットを走ってサーキットのルールを学び、さまざまなテクニックを身に着けてきたからこそ、いまがある。
そんな、第一歩を踏み出したのが、今回紹介するSさん。つい最近、三重県にあるミニサーキット「モーターランド鈴鹿」で、本格的な走行を開始したばかり。彼女がどんな想いでサーキットを走る決意をしたのか、そして、これから何を目指して行くのか、気になる点をたずねてみた。
スゲー女子が、あたりまえに増えてます!
「男子諸君! 負けてはいられませんゾ」というのが、ホントに最近の実感。再燃しつつあるジムカーナにしてもサーキット走行会にしても、元気がいいのはもっぱら女子。どのモータースポーツの現場に行っても、フツーに女性の姿があることにまったく違和感がなくなってきた今日このごろ。しかも速い。
もちろん、いままでだってレディースドライバーがいなかったワケではない。ただやはり、モータースポーツと言えば「オトコの趣味」といったイメージが強い。タイヤを持ち上げるだけでもそれ相応の力が必要だし、タイヤ交換すれば手は汚れるし、簡単な整備作業をするだけでも、着ている服だってすぐに油にまみれてしまう。クルマのメカニズムも知っておく必要があるなかでは、どちらかというと機械に得意なのは男子だ。
しかし、そういう既成概念はもう、まったく古いと思う。モータースポーツに対して、もし、いまだにそんな考えや思い込みのある人がいたならば、ぜひ最近の現場を見ていただきたい。キラキラと輝いているのは、断然に女性ドライバーだというのがお分かりいただけるだろう。
そんなひとりが、ここで紹介するSさん。愛車はワイドボディキットが装着された、トヨタ・MR2。クルマのチョイスだけでもタダモノではないオーラがプンプンと漂っている。それを所有し維持することだけを考えても、男子でも相当な覚悟がいるクルマであることは間違いナイ。
SW20 MR2 が好きでたまらない
彼女はこの日、モーターランド鈴鹿のドライビングレッスンに参加。モーターランド鈴鹿は、JAF格式のクローズドジムカーナ(モータースポーツライセンスが不要)競技を開催していたり、これから本格的なモータースポーツを始めたいという人には格好のミニサーキット。プロドライバーを講師に招いてのドライビングレッスンも定期的に行われている。
「SW20のMR2が、好きで好きでたまらないんです」と話すSさん。学生の頃からSW20のMR2に惚れ込み、街中でMR-2を見かけたら、ついついオーナーに声をかけてしまうぐらい大好き。MR2と言えば、誰もが知る、トヨタのMR(ミッドシップ)2シーターのスポーツカー。いまの新車ではすっかり見なくなったリトラクタブルのヘッドライトが特徴で、まさにスーパーカーフォルムなところがSさんの大のお気に入り。
MR2の初代は1984年に登場したAW10/11という型式。彼女が乗るSW20はその2代目。3S-GTEターボエンジンを搭載するGT-Sグレード。マイチェン後の1997年式はカタログ値245psを発生。しかもターボチャージャーやコンピューターにも手が加えられていて、さらにハイパワーになっているとのこと。
「知り合いのSW20 MR2オーナーさんから現状のまま、譲ってもらったんです。一緒にサーキットに行くことはたくさんありましたが、いままでは応援というか見るのがメインでした。でも、じつは走るのが大好きで、とにかく走りたい! という人間だったのです。ついに所有したからには、見た目のカッコよさや仕様に見合った運転技術を身につけたいという気持ち一心で、マジメにサーキットを走る決心をしました」。
<主な改造ポイント>
◆ベース:トヨタ MR2(SW20)/1997年式
◆グレード:GT-S
◆タイヤ:DL ディレッツァZ lll
◆ホイール:アドバンレーシング RG
◆エアロ:(F)(S)ボーダーレーシング、FRPボンネット、カーボントランク&エンジンフード、GTウイング
◆フェンダー:(F)不明(R)アスクスポーツワイドフェンダー
◆サスペンション:戸田レーシング
◆ブレーキ:(R)FD用純正ローター流用
◆駆動系:エクセディ強化クラッチ、クスコ1.5WAY LSD、ミッション 2/3速カムリ純正ギア流用
◆エンジン:3S-GTEノーマル
◆タービン:純正ハイフロー加工
◆CPU:アペックス パワーFC(セッティング フェニックスパワー)
◆冷却系:オイルクーラー、社外インタークーラー(純正ウォッシャーノズルスプレー加工)
◆マフラー:ワンオフ
◆シート:ブリッド
◆ロールケージ:7点式
Sさんへの一問一答 密着インタビュー
ー今日の走行会に参加したきっかけは?ー
「本気でMR-2を乗りこなしたいと思い、最近マジメにサーキットを走り始めました(笑)。今日は、いつも応援に行ってたサーキットでお知り合いになった、(この日のレッスンの主催者/West Sunshine Racing でもある)南条さんに誘っていただいたのがきっかけです。本格的に上を目指すならということで、ヘルメットやグローブ、シューズなどをそろえるところから、いろいろとアドバイスをしてもらっています」。
ーMR-2でサーキットを走ってみた感想は?ー
「難しい~! てきとうに気を抜いて走るとすぐにスピンモードになってしまうんです。MR(ミッドシップ)なので、うまく運転しないと、速く走らせられないことを実感しました。そこが好きなところでもあるんですけどね(笑)」。
ー走ってみてよかった点は?ー
「見た目がスポーツカーだから、サーキットにも映えますし、写真に撮ってもらってもカッコイイです。下(低回転)からの加速も良いので、ミニサーキットにも向いています。スポーツABSも年式が古いのにとても優秀。ブレーキが物凄い止まることです」。
ー逆に走ってみてダメだった点は?ー
「やっぱり、すぐにスピンモードに入ってしまうことです。あとはリアにエンジンがあるので、クーリングしてもすぐに冷えず、周回が思うように重ねられなかったです」。
ー克服すべき課題はみつかりましたか?ー
「ウェットだとさらに乗りづらくなると思うので、ドライでもウェットでも速く走れるようになりたいです。それから、ライン取りががバラバラになっていたので、安定したライン取りを心がけるようにすることです。まだまだ、勉強しないといけないことばかりです」。
ー今後の目標は?ー
「ジムカーナやレースなど、本格的な競技や公式なモータースポーツに出場するのが目標です。公式戦と言えば、N-ONEのワンメイクレースにも興味があります」。
ーこれから走ってみたいという女子にひとことー
「私のようなはじめての人にはぜひ、ドライビングレッスンに参加するのがいいと思います。走りのアドバイスはもちろん、これからサーキットを走るにはどんな装備が必要なのか、どんなチューニングが必要なのかを知ることで、無駄な費用や時間を節約できると思います。とは言っても、私も真剣に走り出したのはつい最近です。ハデな見た目のMR-2ですが、ドライバーは全然速くないので、サーキットで見かけてもお手柔らかにお願いします(笑)」。
【撮影協力】
◆モーターランド鈴鹿
http://www.motorlandsuzuka.com◆Westsunshine Racing
https://www.westsunshine-rs.com