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「車いす生活でもバイクに乗れる」! 支援する団体「SSP」から女性ライダーが誕生! その活動内容とは

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TEXT: 青山義明(AOYAMA Yoshiaki)  PHOTO: 青山義明

体験走行会4度目の開催で初の女性パラモトライダーも誕生

 レーシングライダーとして世界で活躍した青木三兄弟の長男・青木宣篤選手と3男・治親選手が立ち上げた一般社団法人サイドスタンドプロジェクト(SSP)。事故などで障がいを抱え、2輪車を諦めた人に再びオートバイに乗ってもらい、オートバイに乗る趣味を一緒に楽しんで行けるように応援する非営利支援団体で、今年6月から一般の障がい者を対象とした体験走行会を開催している。

 青木三兄弟の次男である青木拓磨選手は、1998年に2輪GPマシンのテスト中の事故によって脊髄を損傷し、車いす生活を余儀なくされ、現在は4輪ドライバーに転向している。その拓磨選手に再びバイクに乗ってもらおうと「Takuma Ride Again」と題したプロジェクトを昨年スタートさせている。青木兄弟の宣篤&治親の2人が始めた企画がこのSSPの活動につながっている。
 このパラモトライダー体験走行会では、ハンドシステムなど障がいに合わせて乗車を可能とする補助システムを搭載したバイクからヘルメットやツナギまでライディングギアをすべて用意。開催場所は、一方通行で事故の危険性の低いクローズドの空間であるサーキットを使用する。そして、自立しないバイクを支える数多くのボランティアスタッフで構成されている。

 6月から毎月開催されているこの体験走行会では、毎回見学者を受け入れている。今回の参加者は前回の8月の走行会で見学に来た2名が、9月16日(水)に千葉県にある袖ケ浦フォレストレースウェイで開催となった4回目のパラモトライダー体験走行会参加した。SSPに受講する参加者の受付風景

参加した2名はバランスのとれた走りを披露

 走行会は、まずバイクに慣れるために、転倒防止用の補助輪の付いたバイクを使用して直線走行。ここできちんと走行ができることを確認した後、コースでの走行へと移行する。前回、転倒者が出たことから、新たに後輪部分に補助輪を装着した車両を新作。

 さらにこれまで使用していた補助輪付き車両も、補助輪を新型にし、強度、安定性、操作性の向上を図った。さらにこれらの補助輪付き車両には遠隔でバイクのエンジンを停止ができるように緊急停止リモコンも用意。新たに後輪部分に補助輪を装着した車両を新作し、乗り込む様子 今回の2名の参加者は、渡邉友章さんと川口めぐみさん。両名ともバイクでツーリング中の事故で、渡邉さんは腰椎(L1)の圧迫骨折で車いす生活に(2019年8月)。川口さんは胸椎(T12)を損傷し、腰から下がマヒ(不全麻痺)となっている(2016年12月)。マシンに乗り込み発進をする様子 会場に入った参加者とSSP専属の理学療法士との体調確認から始まり、補助輪付きの車両で走行練習を行うのだが、今回参加の2名は、バイクをまっすぐ走らせることができず苦戦。渡邉さんが「1年前までバイクに乗っていたので復帰は簡単だろうとナメてましたが、いざ乗ってみると、自分の中のセンサーが無くなっていて全然乗れなくてびっくりしました」と言うように、自身の身体のちょっとした傾きが、バイクの動きに連動してしまうのだ。同様に川口さんも「乗れると思っていたのに、それができなくて、そのギャップが悔しくて落ち込んでしまいました」とコメントしてくれた。 それでもセッション終盤になって、同じ車いす生活を余儀なくされていながらもバイクを乗りこなしている拓磨選手から「頭を逆方向に振ってバランスを取れば大丈夫」とアドバイス。これで2名とものライディングが大きく変わり、バランスのとれた走りができるようになった。

 残念ながら、さすがにサーキット走行をするまでには至らず、本人のライドによる本コースでの走行は出来ないまま終了。ただ、代わりに、この体験走行会に参加している今野由寛選手のタンデムシートでコースを周回し、この日の走行会を終了した。袖ケ浦フォレストレースウェイを今野由寛選手のタンデム走行で堪能 この日も会場に2名の見学者がやってきており、次回の開催も調整中で10月中には5回目の体験走行会が開催となる予定。少しずつではあるが、着実にパラモトライダーの輪は広がってきている。これからもこの広がりに期待したい。

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