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人気旧車の「交換」は高額になることも! 悩ましきヘッドライトの「黄ばみ」対策とは

劣化が進むとヘッドライトの光量不足で車検不合格になる可能性も!

 街中を走っていたり、買い物などで出かけた駐車場で、ヘッドライトが黄ばんでいるクルマを見かける機会は多いのではないだろうか。うっすら黄ばんでいるものもあれば、新車時の透明感がすっかりなくなり、表面はカサカサ。「夜間走行時、ヘッドライトの光量が不足して暗くないかな?」と心配になったりする。では、なぜ、このような黄ばみが発生するのか? そして、黄ばみを取る方法はないのだろうか? 

黄ばみは人間の日焼けのようなもの。完璧に防ぐことはできない

 まず、なぜヘッドライトが黄ばむのか? これはヘッドライトカバーがポリカーボネート(樹脂製)だからだ。ポリカ―ボネートは耐熱性、耐衝撃性、耐熱性などに優れ、かつ軽量で、破損しても破片が散乱せず、そして成型の自由度も高いため、1980年代前半からクルマのヘッドライトカバーに本格的に採用され始め、1990年代後半にはほぼ全車種ポリカーボネート製に切り替わっている。

 メリットの多いポリカーボネート製ヘッドライトの唯一の弱点が紫外線に弱いこと。この素材は紫外線にさらされると化学変化を起こし、茶褐色に変色するため、ヘッドライトの透明度が下がり、黄ばみやにごりが起こるのだ。簡単に言うとヘッドライトが日焼けして、表面が傷むという感じだろうか。もちろん、その性質はメーカーも把握しており、表面にコーティングが施されているのだが、紫外線はもちろん、飛び石などで剥がれ、傷みが広がっていく。これは避けられないものだ。

 黄ばみ始めるのは早いもので2~3年程度、遅くとも10年経過すれば何らかの変化が起きてもおかしくない。もちろん、劣化の原因は紫外線なので、クルマの保管状況(例えば、車庫保管と屋外保管)で、大きく変わるのは間違いない。また、ハイワッテージバルブなど純正よりも明るいタイプに交換している場合は内側から黄ばむ場合もある。

簡単な黄ばみ対策はライトの表面の劣化した部分を削り落とすこと

 では、なぜ昔のクルマはヘッドライトが劣化しないのか、といえば材質が強化ガラスだったから。ただ、飛び石などの衝撃で割れやすいのがデメリットで、それを予防するためアフター外品で樹脂カバーも用意されていた。また、強化ガラスが減った理由はHIDやプロジェクターヘッドランプの採用でライトユニットが小型化し、熱量も少なくなったため、重いガラスでなくて樹脂で十分な耐久性が確保できるようになったためだ。

手前が樹脂で奥がガラス製ヘッドライト

 では、その黄ばみを除去するためにはどのような方法があるのだろうか? 

 一番簡単なのは市販している極細目のコンパウンドで劣化した表面を削り落とし、健全な面を表に露出させること。これで透明感の復活はするはず。ただし、表面を削るだけでは紫外線の影響を直接受けてしまうので、削ったうえにコーティングすることで透明感を長持ちさせることが可能だ。最近は樹脂ヘッドライトカバー専用黄ばみ取りキットがカー用品で数多くラインアップされているので、それを使えばよい。自分でやれば1000~2000円程度。プロに依頼すれば4~5万円程度が費用の目安。

人気の旧車用ヘッドライトはプレミアム価格で市場に流通する場合も

「そんな手間をかけたくないよ」という面倒くさがり屋さんには、キズを貼るだけで消せるフィルムがある。特殊な粘着剤が傷の隙間に入り込み、光の乱反射を抑制してくれる。

 基本は表面の汚れを洗剤で落としてからヘッドライト表面に張り付けていくのだが、対応できるのは黄ばみが軽度なモノのみ。重度の黄ばみとなっておる場合は研磨して表面をきれいにしてからの方がより効果的である。フイルムはコーティングよりも表面の劣化を抑えられるのがメリットだが、最近の複雑な形状のヘッドライトカバーの場合はDIYで行うのはかなり難しいので、キレイに仕上げるにはプロに任せるほうがいい。

 黄ばみが酷く、削っても輝きが復活しない場合はいよいよヘッドライトユニットの交換を検討しなくてはならない。ここで問題になるのが、年数の経過によるヘッドライトユニットの製造廃止で、手に入らない場合だ。大衆車や普及車両の場合は、販売台数も多く、中古で程度のいいモノを手に入れることはムズかしくはない(長く乗りたいなら探しておこう)が、人気のスポーツカーの場合はそうはいかない。

 特に今、高騰著しい1990年代のスポーツカーは車両価格だけでなく、パーツ類ものきなみバブル価格。一例をあげるとBCNR33後期型の新品HIDヘッドライトユニットが左右でもの凄いプライス(新品で手に入ったときの最後の価格は左右で40万円程度)が掲げられていたこともある。

一部車種は本体ではなく、ライトカバーのみの交換で格安修復が可能!

 その傾向に拍車が掛かっているので今後も安くなることはないが、一部の国産車種(R32/R33/R34型GT-R、A80型スープラ、S14型/S15型シルビア、GDB型インプレッサ、ZVW30型プリウスなど)については社外品だがヘッドライトのカバー単体も用意されているので、それを使ってリフレッシュもできる。価格も1台分で3万5000円程度なので、ヘッドライトユニットを交換するよりはかなりリーズナブルだ。

 ただし、もともとメーカーでは非分解対応のヘッドライトユニットをバラバラしてパーツを組み替える必要があるため、DIYでは難しく、ショップもそれなりの経験がないとトラブルの原因となりかねない。とくにヘッドライトパーツを接合するために使うブチル系接着材に隙間ができ、時間が経過するとレンズの内側に曇りが発生してしまう(純正でもブチルが痩せることで起こりえる)可能性があることは理解した上で施工すべきだ。

 一番は紫外線の当たらない車庫で保管が理想。それが難しい場合はワックス掛けと同じく、定期的なメンテナンス作業として考え、黄ばみが出たらすぐに削り落とし、コーティングを繰り返す。これが一番安上がりで、確実な劣化予防法だろう。

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