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中古価格は1000万円オーバー! 10分で完売した「シビック無限RR」は採算度外視の本気すぎるマシン

採算度外視で作られたコンプリートマシン

 無限と言えばホンダと切っても切れない間柄のブランドであり、その知名度は群を抜いて高い。そんな無限が初めてコンプリートカーとしてリリースしたのが、2007年9月にリリースした「シビック無限RR(ダブルアール)」である。

 それまでホンダ車用のさまざまなパーツをリリースしてきた無限ではあったが、実はそれまでコンプリートカーという形でリリースした車両はなく、当時のプレスリリースには「無限の夢」とまで書かれたのがコンプリートカーの販売だったのだ。

 FD2型シビックタイプRをベースとして造られた無限RRは、300台限定で477万7500円という価格でありながら(ベースのタイプRは283万5000円)発売開始から10分足らずで完売し、現在では1000万円オーバーの価格で取引されているという幻のコンプリートカーとなっている。

コンセプトモデルはスーパーチャージャーを装着

 無限RRのミラノレッドのボディや7本スポークの18インチアルミホイール、ディフューザー形状のリアバンパーなどの意匠を見て、過去の無限のコンセプトカーを思い出した人はなかなかのマニアのはず。実はこの無限RRが登場する以前の2006年に「シビック ドミネーターコンセプト」という真紅のボディカラーをまとったモデルが東京オートサロンに展示されていたのだ。

 2006年はまだタイプRが登場する前のタイミングであったが、シビックセダンをベースに、K20A型エンジンにスーパーチャージャーを組み合わせて300PSを発生する心臓部に6速MTを組み合わせ、225/40R18サイズのタイヤと専用サスペンションで路面を捉えるという点など、無限RRとの共通点は多かったのである(無限RRはNAエンジンだが)。

2リッターNAエンジンから240馬力を発揮

 そこまで詳しくない人にしてみれば、“シビックタイプRを赤く塗ってエアロパーツを付けただけのモデル“に見えてしまうかもしれない無限RRではあるが、当然ながら大小さまざまな部分に手が加えられている。

 まずは心臓部であるエンジンであるが、カムプロフィールを専用とし、ラム圧をかせぐダクトレイアウトと大容量エアボックスを備えたインテークシステム、レイアウト最適化を狙ったエキゾーストマニホールドと低排圧を達成するデュアルエキゾーストシステムを与えることで、+15PSの出力向上を果たしNA2リッターながら240PSを発生。

 足まわりには専用の減衰力5段調整式ダンパーと、ブリヂストンと共同開発した専用タイヤ「ポテンザRE070 RRスペック」に専用鍛造アルミホイールが組み合わされる。減衰力を調整式とすることで、サーキットアタックはもちろん乗り心地などの快適性との両立を果たした。

 ブレーキはノーマルタイプRも採用するブレンボをベースに、逆ベンチ構造のフロントブレーキローターやスリット構造、スポーツブレーキパッドを組み込み、ブレーキホースも低膨張率のステンメッシュに変更するなど抜かりがない。

純正シートとしては異例の上下2段階調整機構を備えていた

 インテリアには、レカロ社と共同開発のシェル材にカーボンコンポジットを採用したセミバケットシートを採用し、タイプR純正比7kg(2脚で)の軽量化を実現。さらに純正シートとしては異例の上下2段階調整機構を備え、通常でも5mm低い着座位置となっている上にローポジションにすることでさらに20mm低いサーキットポジションを取ることも可能としていた。

 ローポジション化したシートに合わせてシフトノブの位置も25mm低くし、レバー比の変更と取付剛性を向上させたことでクイック管とダイレクト感を高める念の入れようだった。

 さらに視認性の高いセンターコンソール上部には水温、油温、油圧を表示する3連メーターも標準装備。否が応でも気分の盛り上がるコックピットに仕上げられていたのである。

走るステージによって調整することができたリアウイング

 そして無限RR最大の特徴とも言えるのがエクステリア。”フォーミュラスポーツ”をコンセプトに仕上げられたそれは、専用のエアロパーツによって前後マイナスリフトバランスを実現。リアウイングにはGTマシンにも採用されている3次曲面を用いた形状とし、Cd値を増やすことなく効果的にダウンフォースを得ることができるようになっている。また、ウイングの取り付け角度を0度から12度まで可変できるようになっており、走るステージに合わせて調整が可能となっている。

 さらにすごいのが、無限RRに採用されたフロントバンパーやグリル、リアウイング、ガーニーフラップはカーボンコンポジット製とすることで(ボンネットはアルミ製)ベース車よりも15kg以上の軽量化を実現しているのだ。

 ご存知の通りカーボンパーツは軽量、高剛性であるが非常に高価なもの。それをふんだんに使用した無限RRが500万円未満という価格だったのはむしろ格安と言える。一説にはほぼ利益がなかったか、赤字だったとも言われるほどなのである。

 なお、無限はその後、コンプリートカーとして2013年にCR-Zをベースとした無限RZ(449万4,000円)を300台限定で、2016年にS660をベースとした無限RA(289万円)を660台限定でリリースしている。

 現段階ではプレミア価格とはなっていないようだが、無限RRにつられて上がってくる可能性もあるので、気になる人は早めに動いた方がいいかもしれない。

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