「ベンコラ」は男の浪漫だ
クルマのカスタムの世界では「復刻ホイール」を中心に旧車懐古な“ネオクラ(ネオクラシック)”スタイルが流行っています。旧車価格もベラボウで、タイムマシンがあったらあの頃に戻って、好きな車を買い漁りたい衝動に駆られる昭和を愛する昭和41年生まれのワタクシです。
そうそう、今や無くなって久しい愛すべき昭和モノといえば……「ベンコラ」もそのひとつではないですか。需要がないからなんでしょう、どんどん消滅していっていますね。ベンコラ、復活しないもんでスカねぇ。
ちなみにこの「ベンコラ」ですが、皆さんはイメージできますか? もう死語?? 「ベンチシート+コラムシフト」の略で、このシート形状とシフト形式の名称を掛け合わせて、両方を兼ね備えたクルマをそう呼んでいました。
コラムシフトとは、ステアリングコラム(ハンドルの付け根)からシフトがニョキッと出ているタイプを指し、もはや絶滅危惧種。フロアシフト、インパネシフトと合わせれば全部で3つのシフトスタイルになります。ステアリングコラムから出ているシフトノブを奥から1速、2速…手前に来るほどギアが上がり、掌を上にしたり、下へと下ろしたりと、職人的な操作感がこれまたシブかった。しかしコラムシフト云々よりもそもそもMT(ミッション)自体が今や絶滅危惧種かぁ(これはまたの機会に…)。
80年代のアメリカ映画を連想させる大らかな空間
まぁ、そんなこと平成生まれの息子世代に語ったところで、マジで通じないとは思いますが。昭和の匂い? 象徴? 一周まわって、今や “憧れ”的なカッコ良さではありませんか。いざというときフロントシートに3人乗れるのも便利で、足元も広々。おおらかな室内を象徴するのが、このベンコラですよ。
ロングソファのようなひと続きのベンチシートは、フロアにシフトボックスが無いおかげで左右どちらからでも乗り込める。「運転席と助手席の移動がしやすい…」うん、確かにそういう理由が正当ですが。いやぁ、でもそんなのは後付けですな。
それよりも、手を伸ばせば届きそうな助手席の彼女との距離感のほうが、何倍もタマランかったのですよ。すぐ隣で密着できそうな妄想が……。助手席の彼女に「ひざまくらして〜」と言いたくなるこの距離感の魅力。コロナ禍もあり最近復活して盛況なドライブインシアターなんぞに行くなら、絶対にこのベンコラ車でしょう。二人のリラックス感はハンパないハズ。よくアメリカ映画のワンシーンで、ドライブスルーした後にサッと隣にハンバーガーとか置いていたなぁ。う〜ん、イカす!