ダメージを負ったマシンで終始厳しいレース運びに
アメリカで人気のストックカーレース「NASCAR(ナスカー)」に長年挑戦し、現在は唯一の日本人オーナーとして活躍する服部茂章代表率いるチーム「Hattori Racing Enterprises (HRE)」。一昨年、ナスカー3大シリーズのひとつ「GANDAR RV&OUTDOORS TRUCK SERIES(トラックシリーズ)」のシリーズタイトルを獲得し、今季もタイトルを奪還すべく、若手ドライバーのオースティン・ヒル選手を起用し、その挑戦を続けている。
新型コロナウィルス感染症拡大の影響を受けたナスカーだが、9月に入りレギュラーシーズンも終え、9月17日(木)に開催となったトラックシリーズ第17戦「UNOH 200 presented by Ohio Logistics」からプレイオフとなった。
舞台はテネシー州にあるブリストル・モーター・スピードウェイで開催となった。そのブリストルのコースは、1kmに満たない1周0.533マイルのショート・オーバル。コンクリート路面で198mの短い2本のストレートに最大28度の深いバンク角を持つターンを持つハイスピード・トラックとなる。 これまで同様、練習走行も予選セッションも行われず、決勝レースのみを行うレースフォーマットで開催。決勝グリッド上位10番手まではシリーズランキングトップ10によるクジ引きによって決められ、HREの#16 United Rentals TOYOTA TUNDRAは5番グリッドからのスタートとなった。
序盤から右リヤ部をヒットする波乱も
ブリストルのコース200周で行われるレースは第1ステージ、第2ステージがともに55周、そして最終ステージが90周という内訳。午後7時半にスタートしたレースでは、オープニングラップで出遅れ8番手まで順位を落とし、ヒル選手が2周目のターン1で後続車からの接触を受けてコントロールを失い外側のウォールに右リヤ部をヒット。12番手までポジションを下げてしまう。幸いにも車両へのダメージは小さく見え、ここからの追い上げを目指して走行を続けるも、7周目にイエローコーションが出され、チームはヒル選手にピットに戻るよう指示。ウォールに接触した右リヤ部の応急処置をしてコースに復帰させる。 30番手からリスタート後、ヒル選手は周回ごとに順位を上げ、25周目には25番手までポジションを挽回。しかし今度はヒル選手から「ブレーキ不具合」という無線が入る。この壁にヒットしたダメージが見た目以上に大きく、これがブレーキトラブルの原因にもなっていた。そのためブレーキをいたわりながらの走行を強いられた16号車は28番手までポジションを落として第1ステージのチェッカーを受ける。
ダメージが残る車両を操りながらチェッカーへ
ステージブレイクでピットに戻った16号車は、給油と4本のタイヤ交換、マシンの修復にブレーキクーリングシステムのチェックを行って、29番手から67周目の第2ステージのスタートを迎えた。ここから順位を上げていくヒル選手は、110周目には19番手までポジションを挽回して第2ステージを終了。このステージブレイクでは給油と4本のタイヤ交換を施して、20番手から最終ステージへと向かう。 120周目に最終ステージがスタート。ブレーキトラブルが完全には解決していない16号車にとってターンの進入でブレーキを多用するショートオーバルでの走りはさらに厳しい状況となっていく。それでも粘り強く走行を続けたヒル選手だったが156周目のサイドバイサイドのバトルでイン側からアウトに膨らんできた他車の右リヤと16号車の左フロントがヒット。
ヒル選手は車両をコントロールしてスピンを何とか免れたものの、ダメージの残る車両をなんとか操りながらチェッカーを受けたが、このレース終盤の接触がペナルティーの裁定となり、26位フィニッシュという公式結果となった。
トラックシリーズは、この後、9月25日(金)にラスベガスでの第18戦になるが、このラスベガス戦ではHREがスープラでスポット参戦しているエクスフィニティシリーズ第27戦(9月26日開催)とのWエントリーでの2連戦となる。