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標準の「3点式」より安全なのに「違反」になることも! 「4点式」シートベルトの正しい使い方と選び方

同じシートベルトでも純正の「3点式」とは完全に別モノ

 レースやラリーなどモータースポーツの車両では定番といえる装備、それが4点式シートベルトだ。サーキット派は使用しているユーザーも多いけど、機能性や安全性、純正採用される3点式シートベルトとの違いについて、なかなか知らない人も多いと思う。装着を検討している人にも向けて、使い方および選ぶ時の注意点などを含めて紹介しよう。

安全性やホールド性の高さが特徴

 まずは純正の「3点式」と、モータースポーツで用いられる「4点式」との違いから。純正の3点式は急ブレーキや事故で強い衝撃が加わるとベルトにロックがかかり、ドライバーがフロントガラスに衝突するのを防ぐことが目的だ。1本のベルトを使った3点支持で、ロック状態でなければベルトの長さも自由に引き出すことができる。スマートに脱着できるが、ホールド性は期待できない。

 対してリール機構を持たない4点式は、独立した4本のベルトをバックルで固定。長さの調整は可能だが、4本をそれぞれ合わせる必要がある。手足を除く身体の可動範囲が大きく制限される代償として、非常に高いホールド性・安全性・操作性を得られるのが4点式のメリットだ。バケットシートと組み合わせれば効果はより高まるが、仮に純正シートでもスポーツ走行におけるメリットは大きい。

オススメは「3インチ+ロータリー式バックル」

 便宜的に「4点式」と呼んだが、足もとにベルトを追加し5点式ないし6点式になっている製品もあれば、ベルトの幅もスタンダードな3インチ(約75mm)に加え2インチ(約50mm)があったり、購入するときはどんなタイプを選ぶべきか悩む人も多いハズ。

 身体への食い込みがソフトでより安全といわれるのは3インチで、ワンタッチで全部のベルトが外れる「ロータリー式バックル」が主流。昔は2インチもあったが身体へのダメージを考慮し現在は公式レースで使用できず、さらにバックパックのように肩と腰のベルトが繋がった旧製品は、バックルを外してから身体をひねって脱出する必要がある。車両火災など1秒でも早く車外に出たい状況では大きなデメリットとなるので、身体や生命を守るためにも3インチ幅のロータリー式バックルをオススメする。

 ただ近年は安全デバイス「HANS(ハンズ)」を確実に固定するため、肩の部分だけが2インチのHANS対応品も増えてきた。多くの4点式シートベルトはFIA(世界自動車連盟)の公認を受けており、使用期限が切れていると公式競技には使用できないので注意。もっとも一般の走行会や草レースであれば、よほど古いモデルでなければ特に問題はないが、大きな事故を起こしたとき使っていたベルトは、生地が伸びたりして本来の安全性を発揮できない可能性があり、再利用はしないほうが無難ということも覚えておこう。

不確実な取り付けは純正よりも危険

 ベルトの長さ調整を4本分すべて独立して行なう4点式は、緩みがあっては安全性もホールド性も台無しとなる。ちょっとキツいと思うくらいタイトに締め込むのがコツだ。なお調整機構や生地の柔らかさはメーカーによって異なるため、機会があればプロショップや実際に使っている車両で体験してみよう。また最近のモデルはカラーバリエーションが豊富で、内装に合わせてドレスアップするのも楽しみひとつだ

 もうひとつ注意したいのは取り付け方法。たまに腰ベルトをシートレールのボルトと共締めしていたり、肩ベルトを固定するアイボルトを鉄板の薄い部分に装着したクルマを見る。いずれもクラッシュで脱落や破損する危険性があり、安全どころかコレが原因でケガをすることも。公式レースではフロアとベルトの角度まで決まっている場合もあり、正しく取り付けるには結構な知識と技術が求められるのだ。

純正を“使える状態”にしておけば合法

 最後に合法か非合法かの話。確かに安全性は上がるものの、残念ながら4点式だけではNG。上半身が自由に動かないことや巻き取り装置のないことが理由で、純正の3点式を生かしたまま問題なく使うことができれば、4点式シートベルトが付いていても違反にはならない。いずれにせよサーキットでは必須といえる装備なので、正しい使い方を知って安全に走りを楽しもう。

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