アゲ業界も注目するスーパーハイト・スペーシア
軽自動車で一番売れているのが「スーパーハイトワゴン」と呼ばれる全高1700ミリオーバーのクルマたち。2019年の国内新車販売台数のトップ3は1位がN-BOX、2位がタント、3位がスペーシアと、なんとすべてスーパーハイト。これら3車種だけで全新車販売台数の11%以上を占める結果になった。つまり去年売れた新車の10台に1台がスーパーハイトだったということ。「軽自動車で一番売れている」というより「日本で一番売れている」と表現する方が正しい。
そのトップがコロナ禍でも毎月約1万5000台を販売し続けるN-BOX。次点をタントとスペーシアが争っているが、今年5月以降はスペーシアの方が優位に立っている。
ゆったりした室内と多彩なシートアレンジ、乗り降りしやすく便利なスライドドア&低床設計と、スーパーハイトのツボはきっちり押さえているスペーシア。2020年8月20日に一部改良を受けたばかりで、自動ブレーキは夜間の歩行者も検知するデュアルカメラ式。追従タイプのクルコンや前後の誤発進抑制機能、高度な標識認識機能を搭載する。また全方位カメラやハイビームアシストもありと安全装備も充実している。
スズキのお家芸たるマイルドハイブリッドシステムは、WLTCモード燃費で22.2km/Lと、3大スーパーハイトの中でもトップ燃費を叩き出す。アイドリングストップからの再発進時もいちいちセルが回ることなくスムーズに動き出せるし、モーターのアシストで坂道でも力強く加速する。
スタイリングは3タイプ。愛嬌のある顔のスペーシア、高級ミニバンを思わせるスペーシアカスタム、アウトドアが似合うスペーシアギアを用意。
その中でもスペーシアとスペーシアギアについては、リフトアップするユーザーをチラホラ見かけるようになってきた。軽自動車のリフトアップといえば、エブリイやハイゼットなどの軽バン・軽トラ、あるいはハスラーやタフトといったSUV系が主流ではあるが、近ごろはスーパーハイト、特にスペーシアはアリなんじゃない? と各アフターメーカーが仕掛けてきているのだ。
広くて便利でファミリーユースにも適したスーパーハイトワゴン×最旬のリフトアップスタイル。背の高さがより際立ち、とても軽自動車とは思えないほどの存在感を発揮する──今回はそんな魅惑の「アゲスペーシア」のカスタムデモカーを詳しく紹介していこう。
CASE_01)軽アゲブームの火付け役。KLCの車種専用アップサス
ジムニーをはじめ、軽バン・軽トラなど軽自動車には昔からリフトアップする文化があった。しかし、それはどちらかというとマイナーなジャンルで、今のようにメジャーなカスタマイズと認知されるようになったのは、初代ハスラーの登場以降だろう。KLCはその少し前からリフトアップサスペンションを開発し、ハスラーの大ヒットと共に一気に支持率を伸ばした軽アゲ業界の先駆者。
このクルマを上げるの? というような車種でも率先してリフトアップしてきたのも同社の特徴。スペーシア用を発売したのも車両登場時の2017年と早かったが、ほかにもLA600SタントやJF1/2N-BOX、ウェイクなどをかなり早い段階から手掛けてきた。まだ目新しく思えるスーパーハイトのアゲだが、KLCではずっと前からやっていたのだ。
やり方は純正のスプリングをリフトアップサスペンション「轟(とどろき)」に交換するだけ。これで約25ミリアップを実現できる(スペーシア/スペーシアギア共通)。低コストでお手軽なのがウリだが、「轟」は車種ごとに吟味を尽くした専用設計。車重やその前後バランス、純正ショックのストローク量、主な使用用途まで考慮して、最適なスプリングレートと自由長が選ばれている。お手軽といっても簡単に作られたモノではない。
乗り心地は純正より少しだけ硬め。基本的にリフトアップすると重心が上がり、ロールが大きくなる。もともと背高のスーパーハイトならなおさらだが、それを若干硬めのスプリングで引き締めるイメージといえばいいか。上げてもむしろノーマル状態よりフラつきが抑えられ、走りに安定感が出るとユーザーからの評価は高い。
デモカーはホイールもKLC製に変更しており、これはこれでカッコイイのだが、より低コストで行くならタイヤだけ履き替えるのもアリ。ちなみにスペーシア/スペーシアギアの純正タイヤは155/65R14(外径557ミリ)なので、オススメはそれよりワンサイズアップの165/65R14(外径570ミリ)のオフロードタイヤだ。これでサスペンション分と合わせて車高の上げ幅は合計30ミリ強となる。タフな見た目を演出できるし、車検も問題なく通るハズ。