旧車は「最新」「高性能」なモノがベストとは限らない
クルマにしてもパーツにしても、基本的には「最新のものが最高の性能」と言える。とくにクルマは技術進化の度合いが激しいので尚更だが、なんでもかんでも新しいものが良いとは限らないこともある。
たとえば旧車では、最新のパーツや部品が悪さをすることもあるので注意が必要だ。宣伝文句や製品の詳細を見ると、装着したくなる気持ちも分からないでもないが、結局は不調の原因になったり、最悪の場合はクルマの寿命を縮めたりするので、よく考えてから使うようにしたい。今回は、旧車では避けたいものをまとめてみた。
【100%化学合成オイル】
これは知っている方も多いと思うが、旧車が現役だった時代は鉱物油が主流。一方、現在は化学合成油が多い。けれど「旧車は化学合成油の使用を避けたほうが良い」と言われることが多い。なぜなら化学合成油はゴムのオイルシールにダメージを与える可能性があるから。シール適合性(シール攻撃性)と呼ばれるもので、ベースオイルによって縮んだり(PAO)、ふかふかになって膨らんだり(エステル)してしまう。そうなると、もちろんオイルが漏れる原因になる。
鉱物油はオイルシールに対するダメージが少なく、旧車には鉱物油を使ったほうが良い言われるのはこれが理由だ。ちなみに現代のクルマに使われているのは問題のないゴムなので、ベースオイルが原因で漏れることはない。
ただ、絶対に鉱物油でないとダメかというと、一概には言えず、じつは化学合成油でも種類によってはシール適合性に問題ないものがあるし、添加剤で対応しているオイルもあるので、気になる場合はオイルメーカーに聞いてみると良いだろう。
【イリジウムプラグ】
現代のクルマに装着すると加速や燃費が良くなったりするので、人気のあるイリジウムプラグ。この点は否定しないが、旧車での使用は慎重にしたい。理由は、もし燃料が濃くてカブリ気味になると性能が落ちるから。要は燃調に幅があるキャブレターとの相性が良くなく、基本的にはインジェクションのエンジンでこそ性能が発揮されるものと考えたほうが無難。キャブレター車で使いたい場合は、セッティングをできるだけキッチリと出すようにしたい。
【ハイグリップタイヤ】
ワイドフェンダーにして、深リムのホイールと組み合わせるとカッコ良いし、その際、走りも重視してハイグリップタイヤにすることもある。また旧車で走行会に出る場合も同様だ。ただ、ハイグリップタイヤの強烈なグリップ力は、旧車の現役時代とは比べ物にならないぐらい向上していて、旧車のサスペンションや駆動系にはストレスが大きい。
いわゆる「足をくじく」状態にもなるわけで、振動やガタの増大などトラブルが出やすくなる。どうしても付けたい場合は、短いスパンでの点検とオーバーホールが必要になることも忘れないでほしい。現代の性能と当時の風情という点では、横浜ゴムなどが力を入れている、復刻銘柄がオススメだ。
【LEDバルブ】
今や激安の中華製でも、そこそこの性能があって実用性に問題ないし、旧車にとっては消費電力が少ないのも大きなメリットだ。そうなると、純正バルブから交換したくなるのは当然のことで、基本的は問題ない。ただ、旧車は電圧が不安定になりがちで、これはLEDにとって良いことではないため、バルブが損傷してしまうことがある。結局何度も買い直したということにもなりかねないので、注意が必要だ。
以上、大きなポイントとしては4つで、細かいところでは、ヘッドライトのバルブを白色のLEDやHIDにすると、旧車の風情がなくなるとか、ボディをオールペンする際に最新の塗料を使ったら、ツヤツヤ過ぎて風情がなくなったなどもある。最新オーディオも同様だろう。
逆に現在の技術でも、ブレーキメーカーがリリースする旧車向けブレーキパッドは安くて効きが良いし、ワックスやコーティングもガッチリと塗装を守ってくれるなど、活用したいものも多い。