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45年前から福祉車両をリード! 技術の塊「オーテック」の歴代モデルが熱い

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TEXT: 土田康弘  PHOTO: オーテック、NISSAN、Auto Messe Web編集部

日産のライフケアビークル(LV)とは

 各メーカーが開発に力を注ぎ、近年、普及が進んでいる福祉車両。日産グループではオーテックジャパンが開発・製造などを手がけ、軽自動車からマイクロバスに至る幅広いラインアップを揃える。今回はそんなオーテックジャパンの福祉車両の歴史を紹介していくこととした。

 その歴史は’70年代から始まり福祉車両の進化とも重なり興味深い話題も数多い。ちなみに日産グループでは福祉車両を障がいを持つユーザーだけのクルマでは無く、高齢者なども含めたユーザーが利用しやすい車両であることを示す意味での「ライフケアビークル(LV)」という名称で呼んでいる。

多くの法人ユーザーにライフケアビークルを広め 

 日産の福祉車両への取り組みはかなり早期から始まっていた。当時はまだオーテックジャパンではなく日産内の一部門が福祉車両を設計・製造していた。そんな日産での福祉車両・第一号となったのは1976年に製造されたマイクロバスであるシビリアンべースの車両だった。車いすを昇降させるリフトを取り付けた車両で、ボランティア団体に向けた特別車両(当時はまだ福祉車両の市販ラインアップは無かった)として製造されたものだった。

 しかし翌年の1977年には日産は東京モーターショーにキャラバンベースの福祉車両を出展することになる。福祉車両のショーモデルを送り出すところは時代的にも徐々に福祉車両に対する注目度が上がってきていた事を思わせるエピソードだ。キャラバンベースの福祉車両

 このキャラバンベースの福祉車両は車いすを載せるタイプでリフト付きの仕様だった。マイクロバスでは無く、よりコンパクトなキャラバンベースで設計したのは福祉車両のより幅広い普及を見込んでだった。福祉車両のモーターショーへの出展は一般ユーザーの注目度を高める、きっかけとなっているのは確かだろう。キャラバンベースのチェアキャブ

 東京モーターショーでの福祉車両の出展から1年後の1978年には早くも日産による福祉車両の市販化がスタートしている。キャラバン/ホーミーをベースにした車いすを載せることができるチェアキャブがデビュー。モーターショーの反響もあり、早々に市販化にこぎ着けたことが想像できる。77年当初のチェアキャブ車内

 1970年代後期に市販化が実現した日産の福祉車両。1980年代には事業所などで用いる特別なクルマから、一般の個人ユーザーも使うポピュラーなクルマへと進化して行くことになる。

 その代表例がバネットベースの車いす仕様車の登場だった。それまでの福祉車両はマイクロバスや大型1BOXをベースにし、福祉施設をはじめとした法人での利用がほとんどだった。対してキャラバンよりも小型の1BOXであるバネットをベースにすることで個人ユーザーが福祉車両を利用する環境を整えたのだ。福祉車両のバースになってゆくバネット

 開発の背景には車いすのリフターが汎用性のある機器だったことがあった。1BOXタイプの車両でラゲッジのハッチが大きく開くモデルであれば、十分なスペースさえ確保できればリフターを取り付けできた。こうして小型のバネットが福祉車両として利用されることになり福祉車両のラインアップはますます広がることになる。

さらに個人ユーザーの手の届く小型モデルへと

 福祉車両が徐々に一般化して行く時代の中、1986年からは日産グループの福祉車両をオーテックジャパンが手がけることになる。当時発売されていたキャラバンやバネットなどを移管して製造がスタートした。

 そんなオーテックジャパンが満を持して開発したモデルが1993年に登場するアトラスロコをベースにした1台だ。ウォークスルーバンであるアトラスロコはラゲッジ後方に観音開きのドアを設置し福祉車両として使い勝手も良い車両。シビリアンよりも小さく、キャラバンよりも大きなボディも、多くの法人利用ユーザーから評価されるサイズ感だったという。観音開きのアトラスロコをベースにした福祉車両

 1995年には個人向けの福祉車両の充実に力を入れる。従来バネットのみだった個人向けの福祉車両に新たに投入したのがセレナ(C23)ベースのモデルだった。当時急速に盛り上がりを見せるミニバンをベースにした初の福祉車両であり、ミニバン初のチェアキャブとしても注目を集めるモデルとなった。

 それまでの福祉車両では車いすを載せるメカニズムとしてリフターを使っていた日産グループだったが、1998年には新たにスロープタイプのモデルが加わった(セレナベース)。初のスロープタイプの福祉車両セレナ

 利用するユーザーの声として「リフターに載せられる車いすユーザーが荷物扱いされている気がする」と感じていたため、介助者が車いすを押して一緒にクルマに乗り込むスロープを発案。またリフターだと機器のサイズも大きくミニバンの3列目シートが利用できなかったがスロープタイプなら3列目の折り畳みシートをそのまま利用できるメリットもあった。こうして通常はミニバンとして利用し、必要に応じて車いすを載せるという、多様な使い方ができるようになった。個人ユーザーへの福祉車両の浸透が進み、ニーズも多様化していることをうかがわせる進化となった。

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