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「ウデ」は同じでも「タイム」が変わるサーキットの不思議! 最速ラップが更新できる「条件」とは

気象や路面状況などで大きく違いが出る

 最初の頃は走るだけで楽しいサーキット。しかし慣れれば慣れるほど気になるのが、自分がどれだけ速く走れるかを示す「タイム」だ。上級者はタイムが出やすい日を狙い、渾身のアタックをかけるという。雨でないことは当然として、気温や湿度、さらに時間帯も関係したりするのだろうか? 好タイムが出やすいのはどんな日か、条件が悪ければどの程度タイムが遅くなるのか、上級者はこのあたりを理解しておくと効率的にタイムアップが狙えるだろう。

「冬・快晴・追い風」なら好タイム?

 気象条件でもっとも影響するのは気温。よく「今日は寒いからパワーが出る」なんて話を聞くが、気温が低いとエンジンに送り込む空気中の酸素密度が上がり、充填効率が高まることでパワーアップする。

 最近のクルマはコンピュータ(ECU/EUM)の補正もあり、街乗りのレベルじゃ差を感じることは少ないが、0.1秒を争うサーキットでは無視できない大きさだ。

 全長が3kmを超えるような本格的なコースでは、車種にもよりけりだが夏と冬で2秒ほど変わるという話もある。ただし寒すぎるとガソリンが気化しにくいなど、別の問題が発生するので低ければ低いほどいいとは限らない。

 実は気温と同じくらい重要なのが湿度で、湿潤なほど空気に含まれる水蒸気が増え、代わりに酸素が減少するのでエンジンの燃焼効率は低くなる。日本の夏が「タイムアタックに不向き」と言われるのは概ねこのふたつが理由といえる。

 続いては風の向きや強さについて。弱風であればさほど気にする必要はないものの、長いストレートが強い向かい風だと抵抗が増して最高速は落ち、逆に追い風なら最高速もタイムも上がる。急勾配の上りストレートが強い逆風で、しかもローパワーの車両だと加速の悪さが体感できるほど。

路面とタイヤの関係

 また影響を及ぼすのは気象条件だけじゃない。「ラバーグリップ」という言葉を聞いたことがあるだろうか。アスファルトの表面にタイヤのゴム(ラバー)が乗り、タイヤのグリップが増したり磨耗が減ったりする現象を指す。

 サーキットでよく聞くのは、フォーミュラカーなどスリックタイヤを履いた車両のレースがあった翌日は、ラバーが乗っておりコーナリング速度が高くタイムも上がるという説。ただしラバーが乗るのはレコードラインに限った話で、それ以外の特にアウト側はちぎれたタイヤのカスが溜まりやすく、そこを走ると自分のタイヤで拾ってしまい、タイムが出にくいどころか振動や異音まで出てしまう。

 タイヤに関していえば路面温度もグリップ力に関係してくる。路面温度が高ければグリップするが熱ダレしやすくなり、低ければ熱ダレはしにくいがグリップ力を発揮する温度までタイヤを暖めなくてはならない。

他車を利用してタイムアップ

 最後は同時にサーキットを走行しているクルマ。コースが空いているほうがタイムは出やすいと思うだろうけど、ストレート速度やタイム差が少ないクルマであれば、自分のタイムアップに上手く利用する手段があるのだ。

 レースの基本的なテクニックとして知られている「スリップストリーム」で、走行している車両の後方は空気の抵抗が少ないうえ、前車が作った空気の渦により引き寄せられる効果まで得られる。レースの決勝で追い越しのときよく使われるが、タイムアタックでも強力な武器となることは確実。

 2本の長いストレートがあるスポーツランドSUGOでは、両方とも上手くスリップストリームを使えれば、1〜2秒タイムアップしても不思議じゃないという話も聞く。

 以上、ここで挙げた条件がすべて一致する日はめったにないが、頭に入れておけば速かったり遅かったりした原因を分析する材料になる。サーキットをより本気で楽しむなら、覚えておいて損はないだろう。

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