キャンプで大活躍する万能調理器具
ダッチオーブンは、分厚い金属でできた蓋付きの鍋です。キャンプで使われることが多く、蓋の上に炭を置きオーブン効果をもたらしたり、煮たり、焼いたり、揚げたりとさまざまな調理方法に対応できます。
普通の鍋と何が違うの?
普通の鍋と違うところは、蓋の上に炭を載せて「オーブン」としての使用が可能な点です。蓋も分厚く重量があり、本体との隙間ができにくく圧力鍋と同等の使い方が可能です。
鋳鉄製のものは「シーズニング」という慣らし作業が必要で、サビつかせない為に毎回使用後にメンテナンスが必要となるのも家庭用の鍋と違う点です。
ダッチオーブンの選び方
[素材で選ぶ]
ダッチオーブンには大きく分けて3種類の素材があり、それぞれ性質・使い方・メンテナンス方法が変わってきます。
◆鋳鉄製(ちゅうてつせい)
鍋に油が馴染むまで時間がかかりサビやすいので洗剤洗いはNG。使った後は鍋でお湯を沸かし汚れを浮かせ、たわし(金属はNG)などで汚れを落とします。空焚きでしっかりと水分を飛ばしたら、全体に薄く油を塗ります。そうしたメンテナンスを繰り返すほどに油が鍋に染み込み「ブラックポット」と呼ばれる黒光りしたダッチオーブンに育てると食材が焦げ付きにくくなり、美味しく料理が仕上がります。
◆黒皮鉄板製(くろかわてっぱんせい)
1200°Cの高温で加熱した際に作られた「黒皮」と呼ばれる「酸化皮膜」で保護されています。そのため洗剤や金たわしを使用しても劣化しにくく、サビにも強いのが特徴。ですが、酸化皮膜は完全なサビ止めではありません。使用後は洗剤で洗った後に乾かし、全体に油を塗る必要があります。
◆ステンレス製
サビる心配がなくメンテナンスも不要のため、普段の鍋と同様に使用することができ、洗剤洗いも可能です。残った食材をそのまま鍋のままに入れて保存しておくこともできるので、ダッチオーブン初心者の方にはとても使いやすい素材です。
[サイズで選ぶ]
使用人数や用途によってダッチオーブンのサイズを選ぶと良いでしょう。
◆8インチ(直径20.32cm)
3合炊飯が可能。少人数での使用に適しています。2台目のダッチオーブンとして購入される方が多いようです。
◆10インチ (直径25.4cm)
5合炊飯が可能。ファミリーで使うのに一番使いやすいサイズで、焼き物から汁物、デザートなどさまざまな料理が作りやすいサイズ感です。
◆12インチ (直径30.48cm)
10合炊飯が可能。大人数でのキャンプなどに用いられます。大きめな丸鶏を焼く場合などは、12インチがオススメです。
ダッチオーブンの使い方
◆使用前に下準備が必要
ダッチオーブンは購入して使用する前に「シーズニング」という作業が必要になります。シーズニングとは出荷時のサビ止めを落として、油慣らしをする作業です。そうすることで調理を繰り返すほどに油が染み込み、テフロンのようにくっつきにくくなります。
ステンレス製のダッチオーブンはシーズンニングは必要ありません。また、シーズニング不要のダッチオーブンも最近では増えてきています。
◆簡単な初回のシーズニング方法
①洗剤でしっかりと洗う(初回のみ)
②空焚きをして水分を飛ばす
③植物性オイルを全体に薄く塗る
④再び鍋を中火にかけ、煙が出てきたら弱火にし、煙が出なくなるまで空焚き
③〜④の工程を4〜5回ほど繰り返すと、黒く油が染み込みます。お手入れがしやすく、長持ちするダッチオーブンになります。
仕上げに、野菜のくず(ねぎ、生姜、ニンニクなど)を鍋で炒め、鉄の匂いを消します。蓋も裏返した状態で野菜くずを炒めます。最後にオリーブオイルを全体に薄く塗り、終了です。
どんな料理が作れる?
◆初級編:おうちでも使える基本の使い方
最近では、IH対応のダッチオーブンも増えてきています。アウトドアだけでなく、おうちでも是非使ってみましょう。圧力効果の高いダッチオーブンの性質を活かし、牛塊肉を長時間煮込んだビーフシチューやカレーなどがオススメです。
◆中級編:焚き火で使う方法
キャンプでは是非、焚き火調理でも活用したいですね。焚き火ハンガーやトライポットなど、火加減の調節ができるアイテムがあると便利です。吊るしながら鍋を囲めば、冷めることなく熱々の状態をキープできるので、冬の鍋料理などにオススメです。
◆上級編:蓋の上に炭を置いて焼く方法
蓋の上に炭を置くことで、上下から熱を与えることができ、オーブンとして使用できます。この方法でおすすめなのが、パンやピザ。均等に無駄なく熱を与えることができるので、ふっくら美味しく仕上がりますよ。
使いこなせばキャンプの楽しさが広がる
キャンプを始めると同時に、ダッチオーブン料理に憧れる方も多いと思います。最近ではIH対応の物やシーズニングレスのダッチオーブンも多くあり、用途に応じて選ぶことが可能です。重量が少々ありますが、車で運ぶのであれば問題なし。
焚き火や炭火で調理する料理はハードルが高く感じるかもしれませんが、きっと想像以上に美味しいキャンプ料理に出会うことができるでしょう。ぜひダッチオーブンにチャレンジして、キャンプ料理をより深めてみてはいかがでしょうか?