愛称で呼ばれるほど人気だったスカイライン
スカイラインと言えば、日産伝統のGT、そしてスポーツセダンというのは異論がないだろう。歴代、長きに亘ってクルマ好きに愛されてきたが、それだけに愛称も多く付けられた。スカイラインそのものに付けられた、キャッチフレーズでは羊の皮を被った狼などがあるし、さらにCMコピーも含めて、歴代それぞれに愛称が付けられてもいる。
けっこうな数があるのとハコスカはおなじみなので、今回は7つ+1つに絞って紹介しよう。ちなみに、最近数代では付けられていないのでさびしい限りではある。
1)赤バッジ/青バッジ
いきなり具体的なモデルのことではないが、スカイラインと切っても切り離せないのが、このふたつ。
もとをたどると2代目の「GT-A」に青バッジが、「GT-B」に赤バッジが付けられたのが始まりで、その後はなにかというと、GT系のフェンダーなどにバッジが付けられて、ただのGTだと青ベース、GT-Rは赤ベース、でもGT-Rがないモデルにはトップグレードが赤だったりと、基準はけっこう曖昧。
ただ、ハコスカあたりの時代でも、2000GTですら高くておいそれと買えず、青バッジでも憧れの的。さらに赤バッジとなるとその上を行く、崇高な存在だったのは確かだ。
2)ケンメリ
4代目のスカイラインはご存知のケンメリ。広告キャンペーンに登場した、ケンとメリーをくっ付けたというか、短くしたのがケンメリだ。ちなみにもうひとつのキャンペーンが、ハコスカ時代から続く「愛のスカイライン」だ。
ケン&メリーがスカイラインに乗って旅をするという、広告展開は社会現象にもなるほどの大ヒット。BUZZが歌うCMソングは33万枚も売れたし、アンテナショップもオープン。Tシャツも30万枚超も売れたとされる。
また、CMに登場した北海道の美瑛にあるケンとメリーの木も、セブンスターの木ともども、今でも観光名所になっているほど。ちなみにケン&メリーという設定は、5代目スカイラインでも引き継ぎ、3代目ケンは今でもモテキャラで売る、マイケル富岡だった。
3)ヨンメリ
ケンメリのなかで、クルマ好きとしてのメインはGT-Rのベースにもなった2ドアハードトップ。4ドアセダンは、リヤまわりが中途半端というか、当たり前だけどトランクが別になっていて、今ひとつな感じだった。ただ、あえて好むのも通な感じで「4ドアのケンメリ」を短くしてヨンメリと呼んでいた。改めていま見ると、キャビンが妙に際立っていてかっこいい。
4)ジャパン
スカイラインは日本車だからジャパンなのは当たり前と言ったらそれまでだが、5代目がジャパンと呼ばれたのは、広告のコピーが由来。「日本の風土が生んだ名車」「スカイラインジャパン」が由来となる。とはいえ、スカイライン全体が実に日本的なデザインだったり、コンセプトなので、この5代目だけがジャパンという感じはしないというのが正直なところ。
5)ニューマン
6代目の愛称はこちら。というか、6代目はほかにも付けられていて、愛称の宝庫だ。ニューマンとは、アメリカの俳優、ポール・ニューマンのことで、広告のキャラクターとして使用されていただけでなく、フェアレディZなどでレースに出るなど日産とも関係が深かった。ちなみにポルシェでル・マン総合2位に輝くほどの実力をもっていた。
5)鉄仮面
6代目でのトピックスのひとつが、マイナーチェンジによる後期型において名機FJ20にターボが追加されたことで、フロントのデザインがグリルレスだったことから、鉄仮面と呼ばれた。このターボRSは実質GT-Rのような存在だったものの、4気筒ゆえに名乗れなかったとされるだけに、鉄仮面という硬派な愛称でイメージを補っていた感じは当時した。
6)7th(セブンス)
7代目だから、セブンスというのは当たり前と言えば当たり前。ただ、言葉の響きのよさゆえに、名付けられた感はある。そもそもこの7代目は当時ブームだったハイソカー的なエッセンス、つまり高級路線もプラスしていて、それまでの硬派なGTとは一戦を画していたことも、影響しているように思う。
番外編:32(サンニー)、33(サンサン)、34(サンヨン)
おまけだが、8代目のR32以降は誰もが共通して使う愛称は、残念ながら付けられていないと言っていい。もちろんR32の超感覚スカイラインといった、広告上のキャッチコピーはあったものの、愛称にはならなかった。
強いて言えば、いわゆる第2世代GT-Rにあたる3モデルは型式が愛称のように使われたし、現在もよく口に出る。その後もサンゴーと呼ばれたりはするものの、広く浸透しているとは言いがたく、浸透度合いでいえば、これら3代はかなり高い。レビン/トレノのハチロク的な感じだろうか。