危険を知ることで事前に対処することができる
最近、ネットやニュースでキャンピングカーの横転事故などが報じられる事がありました。恐らく事故数では、普通車の方が圧倒的に多いのでしょうが、キャンピングカーは良くも悪くも目立つのでどうしても話題になってしまいます。
中には物知り顔で「キャンピングカーって危ないよね」という根拠レスで無責任なコメントまであります。本当にキャンピングカーは危ないのでしょうか? キャンピングカービルダーも走行テストや傾斜テストもしていますし、そもそも、そんなに危険な乗り物が車検を取れるはずがありません。
何事にもコツがある様に、キャンピングカーならではの運転で気をつけるポイントがあるのです。最近では、レンタルキャンピングカーも増えて、人気上昇中です。いつもは乗らない不慣れなレンタルキャンピングカーも、その注意点をしっかりと押さえておけば、何も知らないよりは安心です。今回はそれをご説明しましょう!
①スピードは出しすぎない
キャンピングカーは普通車よりはスピードがでません。家を背負っているようなものなので、重い上に、ベース車はトラックなどの業務車が多く、インタクーラー付DOHCターボなんてお洒落なものは付いてないのが殆どで、ベースからして遅いのです。
しかし、そこは自動車ですから、アクセルを踏めばそれなりのスピードが出ますし、高速でも余程の急斜面でない限り、全体の流れにのる上でも問題ありません。でも、レスポンスは悪いので、この後に紹介をするように、運動性とあいまって「スピードは出ない出さない無理しない」を心がけないといけません。そもそもキャンピングカーはスピードを楽しむクルマではないのですから。
②「急」の付く動作はご法度!
キャンピングカーで良く言われるのは、「急」がつく運転はしない! です。例えば「急発進」「急ハンドル」「急停止」などです。急発進なんて、前述の様に遅いクルマなのでゼロヨンやっても意味がありませんし、急停車も後述の様に重いクルマなので、ピタッと止まれる訳がありません。
できたとしても、きっと後部座席の人はひっくり返っているでしょう。急ハンドルも危険です。キャンピングカーは四角いフォルムなので、大型トラックの走行風や、横風にあおられて、怖い思いをする事がありますが、その時にパニックしての急ハンドルは、安定を崩す原因となり、二次災害的事故にもつながります。鋭敏な操縦はできないと覚悟した方が良いです。
飛行機で言えば、スポーツカーは戦闘機ですが、キャンピングカーは旅客機みたいなものです。そうです、キャンピングカーオーナーの皆さんは、旅客機のパイロットみたいな気持ちで運転しないといけません。
ある方は面白い表現をされていました。「キャンピングカーの運転は氷上でスケートするように」だそうです。優雅におおらかにゆったりと滑るような運転に心がけましょう! 決して、四回転半ジャンプなどはしてはいけません。
③ボディの幅や長さに気をつけたい
これは、見た目にも普通車よりもデカイのは、お分かりだと思います。「キャンピングカーは大型免許が必要なんでしょ?」と質問される事があるくらいです。フルコン(フルコンバージョン・キャンピングカー)などの大型車でなければ、普通免許でも運転できますが、やはりイメージ的にも普通車の倍以上のボリュームがあります。
幅の狭い道路の通行や、狭い駐車場での取り回しなども慣れないと苦労します。特に気をつけないといけないのは高さです。そもそも、人間の視野は、水平方向は広いですが、縦方向は狭く特に上方向は苦手です。背の高い人が良くオデコとかぶつけるのはこの為です。
キャンピングカーもつい高さを忘れてルーフ部をぶつけるという事故がありますが、これも馴れです、常日頃から上方向に気をつけるクセをつけましょう。それと、危なそうだったら、無理をしないというのも重要な基本原則です。
④重量バランスも考慮したい
ハッキリ言いましょう。キャンピングカーは確実に普通車よりも重いです。荷物満載のトラックみたいなものです。標準装備ですら充分に思いのですから、これに家族が乗り、荷物を更に積んだら、乗り物界の横綱級です。
特に、キャンピングカーは荷物の積み過ぎには要注意です。中には、自転車からカヤック、薪ストーブから大型ロッジテントまで、一切合財、それも常に積んでいる方もいますが、これは自殺行為です。キャンピングカーもダイエットや断捨離が必要です。
少なくとも、夏装備と冬装備の入れ替え位は心がけて、なるべく積み過ぎにならないようにしないと危険です。更に、最近、心配されているのがタイヤのバーストです。タイヤというのは、あの車体を支えているので頑丈そうですが、意外とセンシティブです。結構、日頃から無理をしているので、経年変化には気をつけないといけません。
傷などあったら、即新しいタイヤに交換です。よく「まだタイヤの溝があるから大丈夫」とか言う方がいますが、タイヤは置いておくだけでも紫外線などで劣化します。週末しか乗らないというのもタイヤの変形につながります。いつも重たいキャンピングカーを支えているタイヤは、たとえ十分な溝があっても4年位で交換するのが良いとされています。
⑤キャンピングカーの特徴を理解すること
まずは深呼吸して気持ちを落ち着けて冷静に考えてみましょう。前述の①から④までの特殊性を振り返り、キャンピングカーは普通のクルマと違って、ただ走るだけのモノではない事をココロの片隅に置きましょう。キャンピングカーはよく『走る家』と言われます。
ベッドからテーブルに炊事場、コンロ、装備によっては、電子レンジや冷蔵庫まであります。皆さんは引越しで家財道具を積んだトラックに運転した事がありますか? こちらもキャンピングカー同様に、生活用品がうず高く積まれています。
そんな荷崩れしそうな車でスピードをガンガン出して、コーナーを攻めたりしますか? しないでしょう。キャンピングカーは引越しトラックと違って、効率よくスマートに家財道具が装備されているので、つい、普通の車と同じ様に運転してしまうのですが、そのこと自体が大きな間違いだとお分かり頂けたでしょうか?
私もキャンピングカーに乗り始めの頃は、かったるくて、登坂車線になるとついウインカーを左に打つ習慣がつき、どんどん追い越されるのに慣れるまでは、速いクルマが懐かしかったもんです。でも、そのキャンピングカーの特殊性が分かった今では、それらを補ってもなお余りあるキャンピングカーの魅力に大満足!
「キャンピングカーに乗らずに死ねるか! 生まれ変わってもまたキャンピングカー!」という気持ちになっています。皆さんも、キャンピングカーの特殊性を充分に理解した上で、安全・安心・快適で事故のないキャンピングカーライフを楽しんで頂きたいものです。
特にレンタルキャンピングカーは、キャンピングカーを買わなくても素敵なくるま旅が体験できるので、キャンピングカーに対するご家族のご理解も得られて、購入に渋り顔だった奥様も、首を縦に毎秒20回以上で振るかもしれません。まずはお気軽手軽にその特殊性を認識した上で、楽しいクルマ旅にお出かけしましょう!