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雨続きのGR86/BRZレース! ウェット性能に長けた「タイヤ選び」が勝利のカギだった

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TEXT: 岡村神弥(OKAMURA Shinya)  PHOTO: 服部真哉

【TGR2020】第4戦 十勝レースレポート 2020年9月26日(土)~27日(日)十勝スピードウェイ

 コロナの影響で開幕が遅れたGR86/BRZレースは、開幕戦のSUGO、2戦目のオートポリスと、いずれも雨に泣かされるレースとなった。そして3戦目となる今回の十勝でも、やはり雨は大きな影響をもたらし、特異な結果を残すことになった。

 2ヒート制となった第4戦十勝は、土曜日の午前中に予選、午後に第1ヒート、そして日曜日に第2ヒートというプログラムが用意されていた。そして土曜日は雨という予報が出ていて、実際に終日雨となった。早いチームは水曜日にサーキット入りしていたが、雨はなく、経験値の少ない十勝の雨という状況自体が難しいものだった。

 そして、その予選、奇妙な結果が出た。それは、プロフェッショナルシリーズも、クラブマンシリーズ・エキスパートクラスも同じ。なんと上位をブリヂストン勢が占め、ダンロップ勢が下位に沈んだのだ。それはイメージではなく明確な差で、ブリヂストンを選んだ車両が最下位の下に行き、ダンロップを選んだ車両が最上位が位置する、というこれまでの流れと逆行する珍事であった。これほどクリアに分かれるのは想像を超えていた。

 確かにブリヂストンタイヤのウエット性能が高いことは、過去の結果から見ても明白だった。しかしダンロップ勢には十勝をホームコースとする#359平中克幸選手を始め、常に上位でレースを戦う#80菅波冬悟選手など、スーパーGTでチャンピオン争いをしている、速さをアピールできるドライバーが並んでいる。彼らがブリヂストンを履くアマチュアドライバーの後塵を拝するというのは、あっていいことなのだろうか?

▉プロフェッショナルシリーズ

 エントリー台数は26台と、3つのクラスのなかで最も多くなった。プロフェッショナルシリーズではフル参戦するドライバーがほとんどであり、参戦費用のかさむ十勝への遠征も全く問題ない、ということだ。

 予選で速さを見せたのは、#121蒲生尚弥選手(BS)、そして#988井口卓人選手(BS)だった。今シーズン、チーム体制が代わり、チームを移籍した、この2人のドライバーは結果を出せずに苦闘していた。やはりチームとのマッチングも重要なのだ。

 雨の十勝という状況が彼らにチャンスをもたらした。しかしポールポジションを手にしたのは#87久保凜太郎選手(BS)だった。ニューマシンの調子が良く、速さを見せる走りで、井口卓人選手とのBRZマッチレースを制して、初ポールを獲得。予選2位は井口卓人選手、予選3位に蒲生尚弥選手が入った。

 #1谷口信輝選手(BS)、#34佐々木雅弘選手(BS)といったベテラン勢はなぜだか勢いがなく、それぞれ予選7位、予選4位となった。1位から15位までがブリヂストン、16位にはいつも最下位のネクソン、そして17位以下がダンロップという奇妙な予選結果だった。

 第1ヒートも雨だが、そもそもオーバーテイクが難しいコースだけに、レースは膠着したものになった。スタートからトップ3台は変わらず、上位6台がトップグループを形成し、レースは進んでいった。4周目、久保凜太郎選手が大きく姿勢を乱してタイムロス、すかさず井口卓人選手が突くがオーバーテイクには至らない。

 これまでの久保凜太郎選手であると、ここで崩れてしまうことが多かった。しかしこの日は逆に目覚め、しっかりとペースを戻す。その後はペースの優れた久保凜太郎選手がリードを拡げ、初優勝をポール・トゥ・フィニッシュで飾った。

 翌日の決勝レース、天候はすっかり晴れた北海道日和となった。ポールポジションから2度目のスタートの久保凜太郎選手はスタートに遅れ、井口卓人選手に先行を許すことになる。第1ヒートの終盤にペースを落とし5位となっていた蒲生尚弥選手もまた絶妙のスタートを決めて3位へ。その直後#160吉田広樹選手(BS)が単独スピンし、コースサイドにストップ。そのマシンの回収のためにセーフティカーとなる。

 5周目に再スタートが切られたが、その加速してタイミングで久保凜太郎選手はコースオフしてしまい、井口卓人選手との差が開いてしまった。その後、上位陣に大きな順位の変動はなく、井口卓人選手が2016年以来の、通算3勝目を挙げた。

 この週末は結局、BRZがポールポジション、第1ヒート、第2ヒートと全てを制覇し、しかもいずれも1-2フィニッシュという快挙となった。

 また終始ペースが上がらず、7位、6位という結果だった#1谷口信輝選手(BS)を逆転し、久保凜太郎選手がポイントリーダーに立った。

 ダンロップユーザーは、第1ヒートでは#610大嶋和也選手(DL)が15位でトップ。第2ヒートはスタートで前に出ることに成功した#906佐々木孝太選手(DL)の9位が最上位となった。

▉クラブマンシリーズ・エキスパートクラス 

 最も刺激的なレースが展開されているのは、このエキスパートクラスだ。しかしエントリー台数はわずか9台。完走すれば入賞でき、ポイントがゲットできるという、いわばボーナスステージになった。

 ポイントリーダーは、未勝利ながら着実にポイントを積み重ねてきた#556呉良亮選手(BS)。シーズン前からチャンピオン最有力とされてきた#56鶴賀義幸選手(BS)は常に最速のドライバーだったものの、ドタバタしたレースが続き、本当なら勝てるはずのレースを落としてしまい、ランキングは2位。呉良亮選手がステアリングを握るトヨタ・86#556号車 エキスパートクラスの予選は、最も雨量が多かった。コンディションの悪化も予想され、またエントリー台数が少ないことから、全車が一斉にコースイン。そこでやはり#56鶴賀義幸選手(BS)が速さを見せ、1回目が1分49秒454、2回目には1分46秒998というタイムを出した。それに近づいたのは#370菱井將文選手(BS)だったが、それでも1分49秒044が最速タイムであり、2秒以上の差を付けた。

 予選も中盤に差しかかったところ、#358池島実紅(YH)がエンジンブローを起こしてストップし赤旗中断。記憶が正しければ2013年からエンジンブローは5件目。問題はほぼ半周に渡ってオイルをまき散らしてしまったことで、その処理に時間が費やされた。

 予選は再開されたものの、増えた雨量の影響もあり、タイムアップしたドライバーはいなかった。また4台のブリヂストン勢がトップ4を占め、4位と5位の差は4秒以上もあり、ダンロップとのウエット性能の大きな差を見せつけた。

 大差でポールポジションを獲得した鶴賀義幸選手は、第1ヒートでも圧倒的な速さを見せた。オープニングラップですでに2秒以上のギャップを築き、その勢いのまま14周を走りきった。2位となった菱井將文選手とのギャップは12秒255にもなった。3位にはスタートで#556呉良亮選手(BS)の前に出た#550宗藤昌太朗選手(BS)が食い込んだ。

 翌日の晴れた第2ヒート、いくつかの波乱が起きた。まずスタートで菱井將文選手と宗藤昌太朗選手がシグナル前に動いてしまい、スタートに大きく出遅れただけでなく、ジャンプスタートのペナルティを受けることになった。2位へとポジションを上げたのは、ポイントリーダーとして十勝に乗り込んできた#556呉良亮選手(BS)。しかし3周目、ペースを上げてきた#504富林勇佑選手(DL)が2位を奪う。富林勇佑選手が運転するトヨタ・86#504車

 前日のフラストレーションを晴らすかのように、富林勇佑選手のペースは速く、トップを走る鶴賀義幸選手と約4.5秒あったギャップを少しずつ削っていく。そして11周目にピタリと背後に付けると、12周目にトップに立った。鶴賀義幸選手は詰め寄ることができず、チェッカーフラッグとなった。エキスパートクラスを優勝した#504富林勇佑選手

 雨の中で圧倒的な速さを持っていた鶴賀義幸選手だったが、ドライへと変わったことによって富林勇佑選手が勢いを含めて逆転していた。鶴賀義幸選手も、その理由が判らずに困惑していた。

 ただシリーズチャンピオンを目標に掲げる鶴賀義幸選手にとっては、第1ヒートでの勝利を含めて27ポイントを獲得し、シリーズランキングでトップに立った。呉良亮選手との差は6ポイントでしかないが、ランキング3位の富林勇佑選手を含めて、チャンピオン争いを意識したレース運びも要求されることになるだろう。

▉クラブマンシリーズ・オープンクラス

 雨の中の予選、唯一1分50秒台をマークした#57佐藤純一選手(BS)がポールポジションを獲得。 1秒以上遅れた#124西澤嗣哲選手(BS)が予選2位となった。#62咲川めり選手(YH)が予選7位に沈んだため、この2人の一騎討ちが予想されたが、2人とも初の十勝でのレースであり、手さぐりの部分もあった。

 第1ヒートでは、いいスタートを決めた西澤嗣哲選手が並びかけるが、トップを奪うことはできず、佐藤純一選手が逆にリードしていく。そのリードが2秒にまで拡がった4周目、コースアウトしたマシンの回収のため、セーフティカーが導入。

 再スタートでは上手くリードした佐藤純一選手だったが、今度はジリジリと西澤嗣哲選手に迫られる展開に。しかし何とか凌ぎ切り、第1ヒートを制した。

 翌日の第2ヒートでも2人のマッチレースとなったが、9周目ついに西澤嗣哲選手がオーバーテイクに成功、トップに立つ。結局、開幕戦に続いての2勝目を挙げた。

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