ホンダ製F1用PUをレッドブルへの知的財産権譲渡で
レッドブルとアルファタウリのPUとしてF1参戦か!?
10月2日に本田技研工業の八郷隆弘社長の発表により明らかになった「2021年シーズンをもってホンダとしてのF1参戦終了」から2週間が経ち、ホンダの「ブランド」「モータースポーツ」「広報」の各セクションをこの4月から統括しているブランドコミュニケーション本部の渡辺康治本部長が10月16日(金)に会見を行なった。
渡辺本部長によると、今年の3月に自らの役職の正式な就任を前にヨーロッパへ赴きレッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコ氏と初めて接触。その後、社内で「F1参戦終了」について議論が交わされ、8月にはレッドブルに「参戦終了の方向である」旨を渡辺本部長が伝えたという。そして9月末にホンダとして「正式にF1参戦終了」を告げた。これに対しレッドブルからは、2022年から使用する新たなパワーユニット(以下PU)パートナーを探すためにも「出来るだけ速やかにホンダのF1撤退発表」をしてほしいと言われたため、急遽、八郷社長の10月2日の衝撃会見になったのだと説明した。
一方これに対して、レッドブルのヘルムート・マルコは最近のインタビューで、F1側の当面のPU開発凍結を条件に、知的財産などを含めホンダのプロジェクトを引き継ぎ、レッドブル側(恐らくレッドブル・テクノロジー社)でPUを運用(ただし、レッドブル側でそのPUを開発もしくはアップデートはほぼ不可能)していく可能性を示唆している。渡辺本部長の会見では、レッドブル側からのこの提案が実現する可能性はあるのかという記者からの質問に「ホンダとしてはレッドブルが活動を続けていけるよう、できる限りのサポートをしたいと考えている。だが、レッドブル側から具体的な提案がないため、ホンダとしては先方からの提案を待っている状態だ」と答えた。 F1は今年、新型コロナのパンデミックによってF1PUのレギュレーション変更を行ない、2020年シーズン中のPUのアップデートを禁止した。これによりホンダは、開幕のオーストリアGPに投入したスペックのまま、2020年シーズンを戦い続けなければならなくなった。このPUのレギュレーション変更により、ホンダは2020年仕様の開発労力を2021年仕様のPU開発に注力すると社内で決めている。レギュレーションで決められたファクトリーの閉鎖明けには、集中して2021年仕様のPU開発が行われていると、ホンダのF1マネージングディレクターである山本雅史氏が過去にコメントしている。
噂では、マクラーレンとのタッグでF1参戦を果たした2015年から使用しているPUは、2017年にコンセプトを一新、これまでマイナーチェンジしながら戦ってきたが、2021年仕様のPUを例えるならフルモデルチェンジに近いという。一歩進んだ2021年仕様のホンダPUの実力がどれほどのものかは定かではないが、独走を続けるメルセデスに対抗できるものだと仮定すれば、PU開発凍結がFIAやF1統括団体リバティメディア側が認めれば競争力のあるホンダ製PUを使用できることになる。 レッドブルがホンダに対して今後、ヘルムート・マルコ氏が語っていたようにホンダPUの知的財産権の譲渡を求めるならば、ホンダは渡辺本部長が会見で話したように「レッドブルのF1活動がスムーズに続けていけるようにバックアップしたい」が実現することとなる。つまりレッドブルとアルファタウリの2チームが、レッドブル・テクノロジー製PUという名のホンダ製PUを搭載し、少なくても2023年までF1を戦えることになる。F1ファンとしては、ぜひともその実現に向けて両社が突き進んでほしいと切に願う。