30年以上も日産車のカスタムを製作
オーテックコンプリートカーのターゲットは「スポーティなクルマは欲しいけれど、ニスモ(のコンプリートカー)だと少し派手過ぎると感じるお客様が多いですね」と語るのは、オーテックジャパンの広報&デジタルマーケティングGr.高木氏。オーテックとニスモのロードカー(公道用コンプリートカー)は、現在いずれも同社内で製作されている。
1986年の設立以来、日産車のファクトリーカスタムを30年以上も手掛けてきたのがオーテックジャパンだ。現在は日産のラインアップに組み込まれているハイウェイスターをはじめ、ライダーやアクシスなど、様々なカスタマイズ仕様を手掛けてきてもいる企業だ。
また、日産の福祉車両「ライフケアビークル」シリーズや、セレナやキャラバンの車中泊仕様「マルチベッド」などの製作も担当する。
同社が、ニスモブランドの車両を一括して手掛けるようになったのは2017年。社内にニスモ車の企画・開発などを担当する「ニスモカーズ事業部」が新設されてからだ。
神奈川県茅ヶ崎市にある本社工場には、カスタマイズカーを製作するための設備が充実しており、コンプリートカーの販売ルートにも長けているなどの理由で、ニスモロードカー(公道用コンプリートカー)の製作も同社内で行うことになったのだ(厳密には、同事業部に出向する日産自動車の担当者が企画・開発・マーケティングなどを実施)。
そして、それを契機に、同年新たに立ち上がったブランドがオーテックなのだ。2018年1月にはブランド第1弾となるセレナAUTECHを発売。 このモデルからエンブレムなどに使われているロゴも、それまで使われていた赤い筆記体のタイプから、現在使われている青い活字体タイプに変更され、イメージカラーにもいわゆる「オーテックブルー」が使われるようになったのだ。
オーテックブルーは伝統と先進性を表現
このオーテックブルーは、実は同社が創業当時に使っていた古いタイプのロゴにも青が使われていたことが関連している。
30年以上の歴史を持つ同社の社員には、板金や車体改造、車体組み立てなどで昔からの技術を持つ腕のいい職人も多い。2006年には、厚生労働省から「現代の名工」として表彰された社員もいるほどだ。
イメージカラーにブルーを採用した理由のひとつには、そういった職人たちが創業当時から培った高い技術力を今に伝承することで、「伝統」を重んじるという意味合いがある。
また、近年はハイブリッド車などの最新技術を投入したクルマにも青いロゴなどが用いられることが多いため、「先進性」も合わせ持つという意味も込められている。
さらに、拠点がある茅ヶ崎には、近くに関東のリゾートやサーフィンなどのメッカとして知られる湘南があり、青い海と空をイメージさせるということもブルーが採用された理由のひとつだという。