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高齢者には「マツダ車」がおすすめ! その理由は座ればわかる「ペダル」にあった

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TEXT: 御堀直嗣(Mihori Naotsugu)  PHOTO: Auto Messe Web編集部

機構と同時に重要な「ペダル配置」

 もうひとつ、ペダル踏み替えで重要なことはペダル位置の設定だ。新旧アクセラでは、アクセルペダルの方式の違いだけでなく、アクセルとブレーキを含めたペダル位置を修正している。新型は運転席に座った人の体を正しく前へ向かせるため、全体的にペダル位置を右へ移動している。これによって股関節足の動きを左右同じようにできるので、アクセルペダルからブレーキペダルへの足の移動が容易にできるようになる。マツダ車のドライビングポジション

 旧型ではペダル位置が左寄りであるため、最初から状態に対して下半身が左へよじれた状態で着座することになり、右足はアクセルペダルを操作しているときから左寄りで動かしていることになる。そこからさらに左にあるブレーキペダルを踏もうとすると、もっと股関節をよじらなければならない。それは苦しいことだし、高齢になって関節の動きに制約が出てくると、十分左へ足を移動できなくなる。その結果、ブレーキペダルを踏み損なう可能性が出てくる。新旧デミオのペダル位置比較

 そこまでわかっているのに、なぜ世の中の多くのクルマはペダル配置が左に寄っているのか。その理由は、前輪駆動のクルマの多くはエンジンを横置きに搭載するのが一般的で、それによって前輪が客室側へ寄ってしまうので、ペダルのための空間が狭くなる。このため、ペダルを左へ寄せてしまっているのだ。ちなみに左ハンドルのクルマでは、アクセル位置が車体の中心寄りとなるため、ペダル配置に影響を受けにくい。そして前輪のホイールハウスが、ちょうどフットレストの役目を果たしてくれる。ペダル配置が左へ寄ってしまいがちになるのは、右ハンドルであるが故でもある。ペダル配置に影響を受けにくい左ハンドル車両

 それでもマツダは前輪駆動車であってもペダル配置が正しく右寄りにできるよう、前輪と客室の位置を調整して設計している。またその結果、ドアの取り付け位置も変わり、乗降の際に足が引っ掛かりにくくなっている。マツダ車のドライビングポジションイメージ図

 ペダル配置の修正については、ホンダの軽自動車N-WGNでも行なわれている。同じプラットフォームを使うN-BOXと比べ、ペダル位置を右寄りに修正し、なおかつアクセルとブレーキのペダル高さの差を少なくし、吊り下げ式アクセルではあるものの、アクセルからブレーキへの踏み替えでの段差を縮めているのだ。このためN-WGNとN-BOXでは運転感覚がまったく異なり、N-WGNのほうがより安心して安全に運転できる。一方のN-BOXは私自身、何度かペダルを踏み損ないそうになった経験がある。N-BOXのドライビングポジションイメージ図

乗り換えると実感する正しい運転姿勢

 マツダのオルガン式アクセルペダルへのこだわりと、ペダル位置を正しくし、運転者をまっすぐ前へ向かせる着座姿勢は、他車からマツダ車に乗り換えると実感できる。いつものように運転席に座り、走り出そうとしてアクセルを踏んだつもりが、マツダ車ではブレーキペダルを踏んでしまっているのだ。すなわちそれは、自分の体が普段いかに左寄りのペダル配置のクルマに慣れてしまっているか、そして自分のクルマのペダル配置が左寄りになっていることをこれまで気づいていなかったのを、改めて認識させられる瞬間だ。マツダのオルガン式アクセルペダル配置図

 一方、マツダでも同社ブランド名で販売している軽自動車は、アクセルペダル配置が左寄りのままだ。自社開発ではないとはいえ、消費者にとっては同じマツダ車であり、正しい運転姿勢を取れる登録車に対し、軽自動車ではそれができていない矛盾をはらんでいるのは、なんとも惜しいところである。

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