プレイオフランキングは暫定3位に
アメリカでもっとも人気のある自動車レース「NASCAR(ナスカー)」の3大シリーズのひとつである「GANDAR RV&OUTDOORS TRUCK SERIES(トラックシリーズ)」は、2020年シーズンも後半に入り、レギュラーシーズンを終えて現在はプレイオフに突入。現在は3ステージあるうちの第2ステージが展開中だ。 今季のナスカーは、新型コロナウィルス感染症拡大の影響を受け、一時レース自体を中断することもあったが、現在は無観客試合で開催となっている。無観客だけでなく、練習走行や予選セッションを行わない決勝だけのレースフォーマットも採用している。
このナスカー・トラックシリーズで、2018年のタイトルを獲得し、今季チームとして2度目のシリーズタイトル獲得を目指している、服部茂章代表率いる「Hattori Racing Enterprises(HRE)」は、若手ドライバーのオースティン・ヒル選手とともに、このプレイオフに進出している。
そして迎えたトラックシリーズ第20戦「Clean Harbors 200」は10月17日(土)、カンザス州にあるカンザス・スピードウェイで開催となった。プレイオフ第2ステージは、このカンザス戦からの、テキサス、マーティンズビルの3連戦となる。ここではプレイオフ進出の8人から、最終ステージに進む4人に絞られることとなる。
HREの「#16 TOYOTA TSUSHO TOYOTA TUNDRA」は、くじ引きにより決定した8番手からこの134周(第1ステージ30周、第2ステージ30周、最終ステージ74周)のレースをスタートした。カンザスのコースは、バンク角は17-20度と浅めだがコーナーのアールが大きなハイスピードトラックとなる1周1.5マイルのトライ・オーバル。ヒル選手は得意なスタートでマス5番手までジャンプアップしてレースをスタート。20周目には3番手にポジションを上げ、そのまま快走を続け第1ステージを3位でチェッカーを受けて貴重なポイントを獲得する。 このステージブレイクでは、給油と4本のタイヤ交換を行ったが、HREのクルーは素晴らしい動きを見せ、16号車をトップでコースに送り出すことに成功。しかし第2ステージはステート直後にクラッシュが発生し、レッドフラッグが提示されてレースは一時中断。46周目から仕切り直しでグリーンフラッグが振られると、ここから順位を入れ替えながらの激しいトップ争いが展開される。第2ステージも終盤になるとタイヤの消耗も激しく60周目のチェッカーフラッグを受ける瞬間に16号車のイン側に並んだ18号車がはらんで接触、16号車は5位でチェッカーを受けたものの、左ドア後部とサスペンションにダメージを負ってしまう。ステージブレイクのピットインで給油と4本のタイヤ交換と共に、このダメージの応急処置を行ったが、最後尾まで後退してしまい、ダメージを負った不安を抱えるマシンで最終ステージを戦うこととなった。 68周目にスタートした最終ステージでは序盤こそ次々にポジションアップを果たしていく16号車だったが、11番手に順位を上げた83周目にマシンからバイブレーションが発生している無線がヒル選手から入る。チームはドライバーの安全とマシントラブルによるリタイヤを避ける事を最優先に考え16号車のペースを落として様子を見ながら走行を続ける様に指示を出す。
レースが100周を過ぎると、各車両がこの日最後のピットインを開始する。HREもグリーンフラッグ下でのピットインを105周目に指示。給油とアウト側2本だけのタイヤ交換のピット作業で16号車の順位を9番手に上げる。しかしマシンのスピードが戻るわけではなく、このままの順位でレースが終わると思われた130周目に、後続のスピンによりイエローコーションが出され、レースは残り2周でのオーバータイムに入る。 HREチームはここで勝負を賭け、16号車をピットに戻しイン側の2本のタイヤを新品に交換しジャンプアップを目指す。そして137周目にグリーンフラッグが振られるとヒル選手は一気に4番手にポジションアップ。ファイナルラップのターン3でさらに1台をパスして、そのまま3位でチェッカーを受けた。これにより貴重なポイントを獲得した16号車は次戦の戦いに望みを繋げることとなった。トラックシリーズのプレイオフは、最終ステージ進出への残り3枠をかけて7人のドライバーで残り2戦の第2ステージを戦うこととなる。 ナスカー・トラックシリーズは、続く10月25日(日)にテキサスモータースピードウェイで開催の第21戦(プレイオフ第2ステージの2戦目となる)に挑戦する。HREとしてはその前日に行われるエクスフィニティ・シリーズ第31戦へもGRスープラでスポット参戦するため、次戦もダブルヘッダーでの参戦だ。