【Z30】国内よりも海外で評価を得るモデルに
(1991年5月〜2001年3月)
米国でのレクサスブランド展開のためグローバルカーとして開発されたZ30型。そのため、ホイールベースはさほど変わらないが、ボディサイズはかなり大型化された。
基本デザインは、トヨタ北米デザインスタジオ「CALTI」によるもので、ハイビームを内側に独立させたプロジェクターランプとグリルレスの先進的なフロントマスクに、曲面が流れるようなラウンドシェイプのロングノーズ&ショートデッキスタイル。そこには「アーティスティック&インテリジェンス」のテーマが表現されている。世界戦略車となったことで、激変した存在感のある独特なスタイルは、海外で高い評価を受けたが、国内ではイマイチとなってしまった。
先進技術はなんといっても「フルアクティブサスペンション」だろう。前後ダブルウィッシュボーンのサスペンションに組み合わされる油圧制御のサスは、コイルスプリングを廃し、オイルを充填させたシリンダーに油圧ポンプで加減圧を加えることでピストンロッドを伸縮させる機構で、4WS、ABS、トラクションコントロールを統合制御して、常に理想的な姿勢制御を実現している。
このほかにグレード別で、エアサス、新ピエゾTEMS、ノーマルサスと多様なバリエーションが展開された。さらに人工衛星を使ったナビシステムと、クルマの情報を表示するエレクトロマルチビジョン、音質にこだわったスーパーライブサウンドシステムなど、ハイテク満載でゴージャスな装備を設定する。4.0GTリミテッドの内装はウッドパネルと本革インテリアで、さらに豪華な室内空間を演出した。
エンジンはラグジュアリーなV型8気筒の1UZ-FEとスポーティな直列6気筒の1JZ-GTEの2種をラインナップ。スポーツグレードの1JZ-GTE搭載モデルにはMT仕様が残され、スポーツ走行やドリフト競技に活躍する姿も見かけられた。現在では希少モデルとなり、価格も高騰している。
[4.0GTリミテッド] ※代表グレード
全長/全幅/全高:4860/1790/1340mm
ホイールベース:2690mm
車両重量:1630kg
エンジン型式:1UZ-FE
排気量:3968cc
最高出力:260ps/5400rpm
最大トルク:36.0kgm/4600rpm
【Z40】高級志向を強めコンバーチブルに転身
(2001年4月〜2005年7月)
1999年の東京モーターショーに出展されたプロトタイプモデル「レクサス・スポーツクーペ」の市販モデルとして4代目、Z40型がデビュー。
歴代同様、最先端テクノロジーと煌びやかな華を満載し、オープンエアを満喫できるという、さらなる贅沢を取り入れたコンバーチブルクーペだった。Z20型で「エアロキャビン」を限定生産したあとオープンモデルは設定されなかったソアラだったが、Z40では電動格納式ハードトップを備えた究極のラグジュアリークーペに生まれ変わった。リアデッキに格納されるメタルトップは、ワンタッチで操作でき、わずか25秒で開閉が可能で、手軽にオープンクルーズが楽しめる。
エンジンは国内向けといえるスポーティ仕様の6気筒モデルとは決別して、V型8気筒専用モデルとなり、セルシオと共通のV8 DOHC 3UZ-FE型、4300ccを搭載する。ソアラ用に電子制御バルブの開度特性をスポーティなセッティングに変更し、最高出力は280ps、最大トルク43.8kgm/rpmを発揮した。
インテリアは3種類の本木目パネルと4種類の本革シートを設定する豪華な内装と、米国のホームオーディオメーカー マークレビンソン製のオーディオシステムがオプションで選べるようになっていた。グレード展開は廃止され、ボディ色とインテリアを好みで組み合わせるオーダーメイド方式を採用するなど、プレステージ性とラグジュアリー性が極まった高級コンバーチブルクーペだった。
モータースポーツではSUPER GTやD1にも参戦し、トヨタのスポーツイメージを牽引した。2005年8月にはレクサスブランドに統一され、SC430として再スタートすることになる。
同時にソアラとしての車名は幕を閉じた。その後、ソアラで培った時代の最先端を担う豪華なスペシャリティクーペのスピリッツは、SC430からLC500へと受け継がれていくことになる。
[430SCV] ※代表グレード
全長/全幅/全高:4515/1825/1355mm
ホイールベース:2620mm
車両重量:1730kg
エンジン型式:3UZ-FE
排気量:4292cc
最高出力:280ps/5600rpm
最大トルク:43.8kgm/3400rpm