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高齢だからと守りに入るのは損! じつはオススメな「EV」という選択

EVならクルマ生活に新しい発見や快適をもたらす

 高齢になって選ぶべきクルマとは何か? と聞かれたら、一番欲しい車種を買うのがいいと答えたい。この先あと何台買い替えられるか見通せないなか、また、運転免許証の返納時期も迫るかもしれないとき、理屈でクルマを買っても人生つまらなくならないだろうか? 歳を重ねたら好きなものを食べ、好きなことをし、好きなところに住み、好きなクルマを買うのが幸せな人生の幕引きではないだろうか。

 そこで、私が人生最後のクルマとして欲しいのは電気自動車(EV)だ。しかも4ドアセダンが好きなので、4ドアセダンのEVから選ぶとすると、米国のテスラ・モデル3しかない。ただし、車両価格は500万円以上する。

 モデルSはもっと高価で、実は荷室のところがハッチバックなので、厳密にはセダンとは言いにくく、モデル3はトランクリッドを持つセダンとして作られている。なおかつ、モデルSよりあとから製造されたので、品質も高い。

 EVであれば、動力性能は十分だ。静粛性にも優れる。重量が重い分、乗り心地も快適だ。大型画面に集約されたモデル3の情報やスイッチ操作は、老眼でも認識しやすく、画面を使った操作もわかりやすい。さすが、IT先進国である米国の知見が存分に活かされている。

 EVならではのワンペダル操作による加減速は、運転が楽で疲れにくい。ペダル踏み間違いへの懸念も大きく減らせられる。車線変更も、ウィンカーの操作で自動的にやってくれる。EVは、一充電走行距離の短さや、充電に対する面倒さを懸念する人もあるようだが、モデル3ならWLTPモードで400km走れる。お金をもっと払えるなら、さらに走行距離を伸ばせる車種もある。

 EVであればガソリンスタンドに立ち寄らずに済み、自宅で充電すればほとんどの使い勝手を満たすだろう。電気代は、ガソリン代に比べはるかに安上がりだ。ブレーキパッドの減りも少なく、点検整備などの費用も抑えられるに違いない。そもそも部品点数が少ないので、故障も少ないだろう。

 いずれにしても、EVであることが、クルマ生活に新しい発見や快適をもたらし、それは高齢者にとっても快いカーライフを提供するものであると考える。

適切な軽自動車価格でEVが販売されたら・・・・・・

 それでも、500万円以上するEVの話が、誰の役に立つかといえば、あまり大勢に当てはまらないかもしれず、私自身、モデル3を買えるかどうか怪しい。

 しかし、EVであることにより軽自動車もモデル3と同じような利点や快適さを持つことができることを、三菱i-MiEVは10年以上前から示してきた。そして、日産や三菱自からは来年以降には新しい軽EVが発売されるのではないか。

 三菱i-MiEVは当初、460万円近くし(09年の法人向け)、翌10年に個人向けの発売がはじまっても398万円したが、補助金を使うことにより284万円で買えた。それでも、軽自動車として高すぎるのはいうまでもない。

 そこで、私が考えたのが「100km・100万円・軽商用EV」の実現だ。i-MiEVのような乗用車ではなく、配達や仕事で使う商用車で原価を切り詰める開発をしてみることで、販売価格の低減に挑戦しようという発想だ。これは実現していない。だが、この目標を視野に自動車メーカーに頑張ってもらい、そこから乗用車として必要な装備を追加しながら、適切な軽自動車価格でEVを販売してほしいとの願いを込めている。

 昨年の東京モーターショーで公開された日産のIMkが、どのような性能や装備で発表・発売されるのか、現在はまったく予想がつかない。しかし、性能や装備に大胆な発想を採り入れ、軽自動車として妥当な価格で発売されるなら、冒頭から述べてきたような高齢になって選ぶクルマとして最右翼になるだろう。 そのうえで、日産リーフでも行っているヴィークル・トゥ・ホーム(VtoH)への対応がIMkでもできれば、甚大化する自然災害に際し自宅への電力供給能力を軽EVも備え、家族の暮らしに安心をもたらす。大規模災害まで至らなくても、台風などで停電する可能性は今後ますます高まるだろう。EVは、若い世代の人たちの未来を拓く可能性も持っており、歳を重ねた先輩からの贈りものにもなるのではないか。

 次世代の交通社会を少し体験しながら、より安全で快適な運転につながり、事故を減らす可能性も秘め、なおかつ家族の暮らしに安心をもたらすEVこそ、私は人生最後のクルマとして選びたい。

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