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伝説の激速軽自動車「TR-XX アヴァンツァートR」をトコットで再現! いま流行のKカー「エンジンスワップ」の世界とは

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TEXT: 岡田幸一  PHOTO: 岡田幸一、K-STYLE編集部、Auto Messe Web編集部、SUZUKI、DAIHATSU

好きなボディ、好きなシャシーに 好きなエンジン、好きなミッションを載せる

 軽自動車に限ったことではないが、シルビアにスカイラインGT-RのRB26を換装したりと、その世界では結構な需要があるエンジンスワップ。元のエンジンをチューニングする楽しみはもちろんあるのだが、ある域まで進めていくと、よりパワーのあるエンジンに載せ替えたほうが、色々な意味で(コスト面や拡張性など)合理的になってくる。

 顕著なのが冒頭で申し上げた軽自動車。軽は排気量も小さく、元のNAエンジンをいくらチューンナップしたところで限界はあるが、ひとたびターボエンジンにスワップしたとたんに、とんでもなく速いクルマに仕立てることも可能だ。ここでは、そんな軽自動車での実例を中心に、エンジンスワップについてまとめてみた。

●最新スワップ実例 トコット「TR-XX アバR」

 クルマイジりの究極なんだけど……、理解すればするほど、まったく手の届かないものでもないし、色々な意味で合理的なのが、エンジンスワップ。

 例えばNAエンジンからターボエンジンに交換するなんて非現実的だとお思いのアナタへ。おそらくはホイールをリバレルするぐらいの感覚で、じつは、できてしまうものなのだ。好きなディスクに好きなリムを合わせ、PCDを変更する。好きなクルマのエンジンがNAしかない。だけど走りも充実させたい。そんなときは、クルマをドレスアップする感覚でターボエンジンにスワップしちゃえばいい。

 そこに気づいたエンスーな方々からのエンジンスワップのオーダーが途絶えることがないというのが兵庫県のプロバイル。700系ミラジーノのエンジンを880コペンのJBターボに載せ換えたり、1300ccのコンパクトカー用のエンジンにスワップしたりと、同社のファクトリーはエンジン屋さん(スワップ屋さん)とも思える光景が日常になりつつある。

 これらのリクエストをこなしながらも、最新スワップの提案事例としてデモカーを完成させ、この度、プロバイルが正式に受注を開始したのが「トコット TR-XX アバンツァートR」。

 トコット(ダイハツ)はNAエンジンとCVTのみの設定しかなく、古くからのダイハツファン、ミラファンを大きく失望させた。【アルトワークス vs ミラターボ】がまた見られるのでは? と思いきや叶わぬ夢に散る。
「ボクらは当時、500系ミラターボ アバRに、非常に大きな衝撃を受けました。トコットのCピラーの角度にTR-XX アバRを投影した人は少なからずいると思います」と話すのはプロバイルの竹田代表。

 トコットに僕らが求めているのはそうじゃない! ダイハツがつくらないなら自分でつくるまでだ! と発起し、何の変哲もないトコットをベースにターボ化、さらには5速マニュアルミッション化に2019年より着手。その1年後には、エンジン&ミッションスワップとも市販レベルにまで完成させ、2020年の大阪オートメッセにて公開されたのは記憶に新しい。

 エクステリアは、当時のアバRのカタログにも、メインで掲載された赤×黒ツートンにラッピング。脚は同社で独自開発した車高調(ベースはボルドワールド製)で固め、LA400Kコペンのターボエンジンと5速マニュアルミッションを、あたかもはじめから装備されていたかのように違和感なくスワップさせることに成功した。

●エンジンスワップのメリット

 プロバイルのトコットはエンジン載せ換えというビッグイベントを伴っているが、エンジンも現行コペン用の純正だし、エンジンをマウントするための関連パーツもダイハツの純正パーツが主。構成パーツの強度はダイハツが証明しているようなものだし、まずは壊れない。何かトラブルがあっても理論的には全国のダイハツショップにて、修理を依頼することも可能というワケだ。同社では公認を取得するところまでを、スワップサービスの一環としている。合法的に一般道が走れることは超大前提。

 それから、通常チューニングのイメージとしては、アフターパーツメーカーのパーツを組み込んで、パワーやトルク、アクセルレスポンスをアップさせる。だが、なかには間違った知識で取り付けられているものがあったりもする。それが原因でエンジンが不調を来たしていたり、さらにはそのパーツ自体が故障していて、新たに入手しようとしても不可能な場合も多々ある。

 そういうトラブルを抱えている場合も、「エンジンをごっそりと載せ換えしまった方が、作業は早いし、確実。これからの管理もしやすくなります」とは竹田代表。700系ジーノや880コペンオーナーなど、いまでは新車で入手できないクルマをこれからも長く乗り続けるために、新品エンジン&新品タービンにスワップするケースは増え続けているという。「こういうお金のかけ方が、本来のチューニングと言えるかもしれないですね」。好きなクルマを大事に長く乗るというクルマイジりは、まさに、世界的なキーワードであるサスティナビリティである。

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