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「旧車趣味」の神髄はクルマとの会話にあり! わずか100馬力超のエンジンでも楽しめる理由とは

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TEXT: 御堀直嗣(Mihori Naotsugu)  PHOTO: Auto Messe Web編集部,GM

トータル性能を引き出すクルマとの対話はIT化で再来するのか

 逆に言えば、旧車の時代は、クルマの動きを繊細に感じ取り、無理をさせず、それでいて限界性能をいかに引き出すかという、クルマとの対話が不可欠だった。朝、エンジンを始動するときでさえ、キャブレターのチョークと呼ばれる混合器の濃度調整を手動で加減しながら、エンジンが燃焼する様子を排気音で聞き分け、暖気をしなければ、点火プラグがくすぶって、エンジンが止まってしまうような状況だった。キャブレターエンジン

 アクセルペダルも、わずかな踏み込み量の違いからタイヤのグリップの様子を感じ取り、ハンドル操作も、手に伝わるグリップの感触から操舵の切り込み具合を調整し、それに見合った速度調整をして曲がっていくのである。すべては、クルマの動き具合、タイヤのグリップの具合との兼ね合いであり、その調整が、クルマとの対話ということになる。

 当時のレーサーは、そうしたクルマとの対話の極意を身に着けた人たちであり、それであるからこそ、尋常ではない速度でレースを競えたのだ。馬力などの性能諸元や数値ではなく、そこにある性能をいかに活かし、100%引き出せるかであり、それはレースだけでなく、公道で運転するときも、速度なりの調整を上手にできなければ滑らかに走れなかったのである。初代スカイラインGT-Rレース車

 今日は、たとえ数百馬力のエンジン性能があろうとも、それを100%活かして運転者が制御し、クルマと対話しながら運転するなどということが難しくなっている。何の問題もなく運転できてしまうため、楽であると同時に飽きてしまうかもしれない。

 性能という数字ではなく、クルマの性能や調子と相談しながら走らせる面白みを、旧車は体験させ、またかつてを知る人には昔を思い出させてくれる。このところの旧車人気の高まりは、そうしたクルマとの付き合い方を見直す動きかもしれない。

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