スポット溶接を打ち増しし操縦安定性を向上
待望の5速MT車、それも高い耐久性を持つゲトラグ社製5速MTとZFザックス社製クラッチを搭載したモデルを設定するとともに、4G15型エンジンは排気系の見直しにより、154ps/6000rpm&210Nm/3500rpm(CVT車は180Nm/2500rpm)にまで性能アップした。
足元には横浜ゴム社製の205/45R16 83Wハイグリップタイヤ、と7本スポークの16インチアルミホイール、欧州専用ターボモデルと同サイズのフロント15インチ&リヤ14インチディスクブレーキ、高摩擦材ブレーキパッド、専用チューニングのサスペンションを装着し、ステアリングのギヤ比もクイック化。ブレーキアシスト付きABSやEBD、5速MT車にはさらにASC(アクティブスタビリティコントロール)も採用している。
そしてボディには、従来の約1.5倍にも及ぶ箇所へスポット溶接を増し打ち。さらに前後サスペンションの取付部およびDピラー周辺を重点的に補強することで、ボディのねじり剛性を約30%高め、操縦安定性をより一層向上させた。
エクステリアも走り本位の設計で、フロントバンパー・グリル・ボンネットとも開口部を拡大・追加してエンジン冷却性能をアップ。タイヤサイズ拡大に合わせて前後にオーバーフェンダーを装着したほか、リヤバンパー下部をディフューザー形状としている。
インテリアも、前席にスポーツシートを標準装備、レカロ社製セミバケットシートをオプション設定し、後席を3名掛けから2名掛けに変更。ランサーエボリューションシリーズと同様のシフトレバー・ケーブルやアルミプレート付きABCペダルを装着したのも、「バージョンR」ならではのポイントだろう。
そんなコルトラリーアート・バージョンRの走りはまさに「ミニ・ランエボ」と言うべきもの。ごく低い回転域から余りあるトルクを生み出す4G15が5速MT車で1110kgの軽量ボディを力強く加速させ、それを大幅に固められたボディ・シャシーが余裕をもって受け止め、かつソリッドで軽快なハンドリングをドライバーにもたらしてくれる、三菱車らしい痛快な仕上がりだった。