いかにしてコンディションを維持できるか
形あるものはいつかは壊れるというけれど、それはクルマも同じ。どんなに大切にしても劣化は進むし、じゃあ乗らなければ良い、というものでもなく、寿命に向ってカウントダウンは続く。しかし、それを遅くする方法があるのも事実で、何より乗りっ放し、置きっ放しではダメ。とくに旧車の場合は致命的なことになり兼ねないだけに、保管方法には気をつけたい。そこで今回はその保管方法についてまとめてみた。
【ガソリンはできるだけ満タン】
ガソリンタンクが樹脂になったのは最近のこと。それまでは金属製で、内部はコーティングされているわけではないので、劣化が進む。実際、レストアの難関は燃料タンク内のサビをどう処理するかだったりもする。できるだけ満タンにしておけば、空気に触れないのでサビを防止できる。ただ、ガソリンは腐ってキャブレターに詰まったりするので、満タンにした時期を頭に入れておいて定期的に動かし、ガソリンを入れ替えるようにしたい。
【タイヤへの負荷を減らす】
長期間停めておくと、当然のことながら、タイヤの同じ場所が常に接地するので、そこだけヘコミやすい。いわゆる「フラットスポット」ができてしまい、走るとゴンゴンと振動が出てしまう。
基本的には戻すことはできないので、たまに動かして接地面を変えてやったり、猛者になるとジャッキアップして保管する例もある。また保管中は空気圧を高めにしておくのも手だ。
【車内の湿気除去と換気】
湿気はクルマにとって大敵な存在。できるだけ無いほうが良いし、アメリカ西海岸が「旧車天国」と言われているのは雨がほとんど降らず、乾燥しているからだ(最近は異常気象で雨が増えているが……)。一方の日本は高温多湿ということで、旧車の維持には不向き。それでもオーナーは維持しなければならないワケで、そこで用いられるのが除湿剤。クルマ用は小さいので、家庭の押し入れ用などの大サイズを複数個置き、トランクにも入れておくようにしよう。
湿気を取り除くことに加えて車内を換気することも大事で、もし屋内保管であれば窓を半分ぐらいあけて空気が常に出入りできるようにする。
また、窓に挟む小さなファンがあるので、それを付けるのも手だ。屋外保管でも定期的に空気の入れ替えをして、とにかく空気が留まらないようにする。
【バッテリーは外しておく】
今のクルマは停車時もさまざまな電装品が作動しているので、バッテリーを外すことはトラブルの原因にもなる。一方の旧車で困るのは、時計が止まることぐらいだ。乗らないとバッテリーは上がってしまうが、毎回新品にするのは費用も手間も現実的ではない。端子を外しておくのも良いし、キルスイッチを付けるのもアリ。
またコンセントにつなぎっぱなしにしてバッテリーを常に満充電状態にしてくれるアイテムもあるので、それを接続しておくのもひとつの手段だ。ソーラーパネルのモノもあるが、満充電を維持するには役不足ではある。
【ボディカバーは通気性重視で】
ボディカバーについては賛否両論あるが、屋外保管ではかけたほうが良い。ただボディカバー選びにはこだわって、水を弾きつつ、通気性のあるものを選ぶのが絶対。安いものだと湿気がこもるだけだ。また、できるだけサイズはピッタリのものとして、キズを防止するために風でなびかなようにヒモなどで固定する。しばらくするとボディカバーが色あせてくるが、かけていないとそれはすべて塗装が受け止めると思うとゾッとする。
一方、屋内保管の場合はどうか。欲をいえばシャッター付きのガレージがベストで、その場合もボディカバーをかけておくと、細部へのホコリなどが侵入が防げる。撥水性は気にしなくて良いので、屋内保管用のホコリ防止専用ボディカバーというのでも十分。ホコリを防ぐだけなので、とても薄いのが特徴だ。
【カプセルに入れる】
番外的なネタにはなるが、透明の巨大な袋にクルマごと入れて、常に空気を送り込んで膨らませるというカプセルがある。欧米のビンテージカーを保管する際によく使われていて、ヤナセでも「カーカプセル」というものを扱っている。真空パックではないが、イメージはそれに近いものがある。
以上6つのポイントを紹介したが、最後に触れておきたいのが、定期的に走行させるということ。維持するためにただ走ることもコンディション維持のひとつと言えるが、「週に1度、エンジンはかけています」とか「近所を一周してます」程度ではダメ。バッテリーを活性化させて、油脂類をしっかりと暖めるには最低でも15分は走ってあげたい。それ以下だと中途半端で、逆に痛めたりすることもあるので注意が必要だ。