プレイオフ最終戦に進出できず 2年ぶりのタイトルの夢は潰える
アメリカでもっとも人気のある自動車レース「NASCAR(ナスカー)」で、服部茂章氏がチームオーナーを務め、ナスカーでは唯一の日本人オーナーチームとなる「Hattori Racing Enterprises(HRE)」。このHREはピックアップトラックで競われる「NASCAR GANDER RV & OUTDOORS TRUCK SERIES(トラックシリーズ)」を2018年に制しており、今シーズンも2年ぶりのタイトル獲得に向けて、挑戦を続けていた。
ターンのバンク角は12度とフラットに近く、ストレートとヘアピンを組み合わせたようなコースはその形状からペーパークリップの愛称で呼ばれている。シリーズ屈指のハードブレーキトラックであり、ターンでは右フロントタイヤに大きな加重がかかる。今回の第22戦では、第1ステージ50周・第2ステージ50周、最終ステージ100周の計200周で競うこととなる。
決勝レース開始直後、ヒル選手はいつものスタートダッシュを見せるかと思われたが、タイヤのグリップ不足があっていったんは4番手に順位を落とす展開からレースはスタートした。その後タイヤが温まってきてスピードを取り戻した16号車だったが、今度は20周過ぎから原因不明のトラクション不足が発生、見る見るうちに順位を下げてしまう。
レース序盤のマシン異変 ポイントゲットへ戦略変更
その16号車、50周の第1ステージが終わったステージブレイクのピットインではマシンチェックと給油、4本のタイヤ交換をして第2ステージを22番手から迎えることとなった。続く第2ステージではスピードを取り戻した16号車は前車をパスしていくのだが、今度は70周目のバックストレートでマシンのスピードが極端に下がってしまう。HREチームはグリーン下のピットインを避けるため、ヒル選手にエンジン回転数を落としてスロー走行で周回を続けるように指示し、イエローコーションが出るのを待つが、やっとコーションが出た76周目には26番手までポジションを下げてしまった。
しかし116周目のストレートエンドでエンジンルームから火花が上がる。ヒル選手は何とか自力でピットまでたどり着くも、その時点で走行不可能な状態となっており、無念のリタイヤとなってしまった。そして残念ながら僅かなポイント差でファイナルステージへの進出は叶わなかった。
アリゾナ州フェニックスで行われた、11月6日(金)午後8時からの「Lucas Oil 150」が、今シーズン、トラックシリーズの最終戦となった。