ピュアスポーツのNISMO、プレミアムスポーツのAUTECH
そして現在、NISMOとオーテック両メーカーのコンプリートカーはオーテックで開発されている。その証にNISMOコンプリートカーにAUTECHのステッカーやプレートを確認することできるはずだ。オーテックがNISMO仕様を手掛け始めたのは2007年のZ33型フェアレディZのバージョンNISMOからで、2013年からは現在のNISMOロードカーの開発も支援。そして、NISMOロードカーのグローバル販売拡大のため、2017年にオーテック内に「NISMOカーズ事業部」が設立されたことで、商品企画から開発までをオーテックが受け持つこととなった。
NISMOカーズ事業部と同時に「ブランドダイレクターオフィス」も新設。この部門の設立によって、スポーティ&パフォーマンスというイメージをもつ2つのブランドはモータースポーツのDNAを継承する「ピュアスポーツ」なNISMOとスポーツなテイストはNISMOと共通だが、特装車作りで蓄積されてきたこだわりのクルマ作りを活かした「上質で快適なスポーツ」を目指すAUTECH(これまでのオーテックバージョンではなく、NISMO同様にブランドを明確に打ち出すネーミングを採用)とカスタムカーの方向性が棲み分けされたことで、ブランドの存在価値が明確となったのは一般ユーザーにとって喜ばしい限りだ。
オーテックらしいマニアを唸らせるマシン製造の継続に期待!
ただ、コンプリートカーの基準が明確化され、AUTECHとひと目でわかる良質かつ、完成度の高いモデルがリリースされるのは好ましいことだが、これまでのオーテックが節目節目に販売してきた技術の集大成といえるコンプリートカーは今後もリリースされるのか、は気になるところ。
古くからオーテックを知るクルマ好きならば、ボレロA30のような見るだけでワクワク、ドキドキできる特別なモデルに期待しているはず!
特にGT-RやフェアレディZといったスポーツカーを、今のオーテックならどのように味付けをするのか、興味津々である。欧州スポーツカーに負けるとも劣らない上質なプレミアムスポーツが登場するとなれば、心が高ぶるのはきっと筆者だけではないはずだ。妥協なき技術者であった櫻井眞一郎氏が設立した特装メーカーの職人魂が永遠であることを切に願う!