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「一般車両」と同じ目線はNG! 「福祉車両」の中古車選びで「やってはいけないこと」とは

専門知識のあるスタッフがいる販売店でオーダーするのが間違いない

 福祉車両の充実度が上がってきている近年、一般ユーザー向けの車両もポピュラーになり中古車の流通も多くなっている。そこで福祉車両を中古車で購入する場合の注意点を福祉車両の販売を数多く取り扱っているYOUING(ユーイング)の中川裕介さんに話をうかがった。

「普通車でももちろん同じなのですが、程度の悪い中古車は避けます。特に事故車はNGですね。普通車の場合は“動けば良い”と言って程度の悪いクルマを安価で購入するケースもあるようですが、福祉車両の場合はリフトやスロープなどの機器が付いています。それが中古車でも正しく作動するかどうかが怪しいからです。なるべく状態の良い中古車を選ぶことが大切です」。

 一般的な中古車とは異なり、クルマの基本的な機能は良好でも福祉機器の動作が保証されているわけでは無いという点をユーザーは忘れがちだ。中古車を販売する時点で壊れている部分を修理するなどして、正常な状態で販売しているならば良いが、それを事前に確認する方法がないのが現状だという。

「予算があまりないため、どうしても評価点が低い福祉車両を探すことがありますが、正直なところよく知っているお客さんにしか売れません。後からトラブルが出てしまうリスクがあるからです。中古車の評価点でいえば4点(上からS/6/5/4.5点の次)以下のクルマは避けるようにしています」 。

 中古車のWebサイトなどで格安な福祉車両を見かけることもあるのだが、普通乗用車の中古車よりもリスクが大きいことを理解しておく必要がありそうだ。

 また、福祉車両を購入する際には車両の仕様やスペックなどを事前に知りたいものだ。しかし販売されている福祉車両には詳細なデータが記載されていないケースも多いという。

「福祉車両の中古車を探す際に、予算と装備が大前提になります。その上で年式や走行距離などの基本的な項目は中古車の情報として公開されていますが、福祉機器の情報が詳しく書かれていないケースも多いのです。これでは狙いの車両かどうかがわかりません。そこで当店では販売されている中古車の車体番号などから独自に調べて、どのような仕様の福祉車両なのかを判断することもあります」。

 中古車の販売時に福祉機器の詳細な情報が無い場合もあるという。つまり、福祉車両の中古車購入には福祉車両の専門知識のあるスタッフがいる販売店でオーダーするのが間違いない方法と言えるだろう。

実車を見て使用シーンを想定したシミュレーションが必要

 次に中古の福祉車両を探す際には利用するユーザーのニーズや用途に合わせた仕様を選ぶ必要がある。例えば介助者も含めて何人乗るのかによってシートレイアウトが変わってくる。また車いすを載せる際には、車いすの大きさや座面の高さも大切。それ次第で選ぶクルマのサイズが変わってくるからだ。

「過去には買ったクルマに車いすで乗り込んだら“頭が当たるので屋根を上げて欲しい”とオーダーを受けたこともあります」。

  また、一般的な中古車ならば実際のクルマを見て触れて購入を決めることができるが、福祉車両の場合は在庫をしていないケースも多く、また中古車の数も多くないためなかなか実物に触れるのは難しい。そこで、ユーイングで実施しているのは他のクルマでのお試しだ。

「例えばメーカーの新車を借りてくる、レンタカーを借りる、さらには以前販売したお客さまのクルマを借りるなどして、購入を予定しているユーザーになるべくクルマを見てもらうようにしています」。

 実車を見て使用シーンを想定したシミュレーションができれば安心して中古車の導入が可能になる。 これらの項目をうかがっていくと福祉車両の中古車を探す場合には、福祉車両の専門知識のある店舗で相談することが間違いの無い方法だと言うことがわかってくる。一般的なクルマ以上に機能性が求められる福祉車両なので、クルマ選びは慎重に行おう。

【取材協力】
YOUING(ユーイング)
http://youingnet.com/

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