第2世代GT-Rの全車両開発を担当した日産のエースパイロットも愛用
製造は今やなきプリンスの聖地である村山工場が担当したが、エンブレム類や外装のパネル類の装着、最終検査などは日産自動車座間事業所で行われたのは意外に知られていない。つまり、オーテックの名前は付くもののオーテックは企画のみで、市販車の製造、組み立てには関与していない。
エクステリアはフロントバンパー&リップは前期型のダクトなし&小型タイプが使用され、リアウイングもなし。4ドアの上級グレードに装着されるドアのメッキモール類がレスとなるのはハコスカGT-Rの伝統になぞらっているからだ。
インテリアもシートは前期型のブルー系(2ドアの後期型は赤系)に統一。また、型式がBCNR33なので乗車定員は4名。そのためリアには新規でバケットシートが採用されている。オーディオもKENWOOD製のCDプレーヤーに格上げされ、車速感応式オートドアロックが標準化されるなど、装備は2ドアよりも豪華仕様となっていた。
ボディカラーは2ドアで人気があったミッドナイトパープル/ホワイト/ソニックシルバーで、発売当時はシルバーが人気であったが、中古車市場では台数が少ないミッドナイトがもっとも高値を付けている。
価格はベースとなったR33GT-R標準車よりもわずか10万円高と、内容を考えたらまさにバーゲンプライス。ファミリーユースのため2ドアを選べなかった層に歓迎をもって迎えられた。そのオーナーの1人に卓越した技能者に与えられる「現代の名工」として表彰され、第2世代GT-Rのすべての車両開発を担った日産テストドライバーの加藤博義氏が名を連ねていることはオーナー&ファンの間では有名だ。
ハコスカ(PGC10)のイメージを踏襲し、現代版の羊の皮を被った狼仕様として誕生したR33オーテック。趣味と実用を高いレベルで両立し、R32&R34両オーナーからも一目置かれる独自の存在感がR33ファンを今なお魅了してやまない。