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いま見ても圧倒的な存在感! 60年代の国産スポーツモデルの名車っぷりが凄い

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田 了、NISSAN

【トヨタ2000GT】GTテイストを持ったスーパースポーツ 

 そんなヨタハチに続いてトヨタでは、もう1台のスポーツカー計画が進められていました。そして65年のモーターショーにコンセプトモデルが参考出品されるのですが、軽量コンパクト&空力を追求したヨタハチとは真逆なコンセプトでまとめられたそれは、まさにスーパースポーツカーと呼ぶにふさわしいスペックを持っていました。トヨタ2000GT まずエンジンは、クラウンに搭載されていた2L直6OHCのM型エンジンをベースに、ヤマハ発動機がチューニングを担当。新設計のツインカムヘッドを組み込んだ3M型を新開発して搭載。フレームは、ロータスが好んで採用していたX字型のバックボーンタイプで、サスペンションは前後ともにダブルウィッシュボーン・タイプの独立懸架とされていました。2000GTの3M型の直6ツインカム・エンジン 3M型の直6ツインカム・エンジンはフロントアクスルよりも後方にマウントされる、いわゆるフロントミッドシップのレイアウトとなっていました。ロングノーズに、後端部分をファストバック形状としたショートキャビンと組み合わせたエクステリアは、半世紀以上を経た、現在のレベルで考えても十分にモダンでスタイリッシュでした。トヨタ2000GT ここまでに紹介したフェアレディやエスハチ、ヨタハチが、ストイックなスポーツカーだとするならば、2000GTは豪華なグランツーリスモのテイストを持ったスーパースポーツカーでした。モータースポーツでは、特に長距離耐久レースで無類の強さを発揮していました。

【コスモ スポーツ】唯一無二のREを搭載したスポーツカー

『レースは走る実験室』というフレーズは、今や陳腐化されてしまった感もありますが、スポーツカーの存在意義の一つに、それまでになかった新しい技術をアピールする場、というものがあります。

 その点で言うなら、1967年に登場したコスモスポーツは、国産車としては初めてロータリー・エンジン(RE)を搭載した、エポックメイキングなモデルとして自動車史上に残るスポーツカーとなりました。コスモスポーツ 3輪トラックで自動車メーカーに名乗りを挙げ、R360クーペで乗用車市場に進出したマツダ(当時は東洋工業)にとって、REを搭載して1967年に市販されたコスモスポーツは、REに関する技術の集大成であると同時に、走る広告塔の意味合いもありました。

 それまで内燃機関で主流となっていた(そして現在でも主流となっている)レシプロ・エンジンとは全く違った成り立ちですから、同じ排気量とは言っても比較し難いところはありますが、コスモスポーツに搭載されていた10Aユニット(491cc×2ローター)は排気量が僅か982ccに過ぎなかったのですが、最高出力110馬力で最高速も185km/hと、2Lの直6エンジン搭載車に匹敵するものでした。コスモスポーツ搭載のロータリーエンジン「10Aユニット」 フレームはモノコックで、前後のサスペンションもフロントがダブルウィッシュボーン+コイル、リアはド・ディオン・アクスルをリーフスプリングで吊った4輪独立懸架とするなど、当時としては新しい技術を盛り込んでいました。

 さらに詳しく見ていくと、エンジンの搭載位置はフロントアクスルより後方で、いわゆるフロント・ミッドシップとなっていて、軽量コンパクトでハイパワーなREは、まさにスポーツカーのパワーユニットには最適でした。

【フェアレディZ】今に続くスポーツカーの本流に

 1960年代に登場した国産スポーツカーを、ここまで5台紹介してきましたが、今では残念ながら殆どのモデルが消滅してしまいました。そんな中、唯一残っているのが最初に紹介したフェアレディ2000の後継モデル、69年に登場したフェアレディZです。S20型エンジンのフェアレディZ 後継モデルとは言うものの、フェアレディ2000とフェアレディZは、そのコンセプトが一新されていました。スパルタンで、古典的でさえあったオープン2シーターから、快適なクローズド2シータークーペに。そしてスポーツカーからGTカーへ。スポーツカーの捉え方自体も変化していたのかもしれません。

 そういえばフェアレディ2000の最終モデルではソフトトップに替えて樹脂製のハードトップを装着したグレードも登場していました。

 それはともかく、フェアレディZですが、ロングノーズに後端部分をファストバック形状にしてハッチゲートを追加したショートキャビンという外観は、トヨタ2000GTにも共通しています。モノコックボディに組付けられるサスペンションは前後ともにストラット式で4輪独立懸架を採用しています。搭載されたエンジンはすべて直6で2L SOHCのL20がベースエンジンとなり、スカイラインGT-Rと共通の2LツインカムのS20型を選ぶこともできました。ただしメインのマーケットとなった北米では、気難しいS20ではなくトルクフルなL系が好まれ、2.4LのL24や2.8LのL28なども追加設定されていきました。フェアレディ240ZG  先ごろ、ニューモデルのコンセプトモデルがお披露目されたフェアレディZは、初代モデルが69年に登場し、以後6代、半世紀以上も世界中から人気を博して、世界に冠たるスポーツカーのビッグネームへと成長していきました。この先登場するであろう7代目のZは、初代モデルに回帰するイメージを漂わせていましたが、Zはこれからも永く、世界中のファンから愛されるスポーツカーであり続ける、そう期待せずにはいられません。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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